ちいさいフクロウとクリスマスツリー
- 訳:
- 福本 友美子
- 出版社:
- 鈴木出版
絵本紹介
2022.11.28
みどころ
たった一羽、大きな木の穴の中で静かに暮らすちいさいフクロウ。ある日、全てが変わる出来事が起こります。暮らしていた大木が、人間の手によって切り倒されてしまったのです。木はトラックに乗せられ、どこかへ運ばれて行きました。木の穴に小さなフクロウを入れたまま……。
ちいさいフクロウは初めて聞く音ばかり。一体なにが起こったのかさっぱりわかりません。木にかぶせてあったシートが取り外されると、そこには人間の顔が。男の人はその小さなフクロウの存在を知ると、そっと手のひらに乗せました。
このおはなしは、2020年、ニューヨークで起こった、本当のことです。ちいさいフクロウが住んでいた大きな木は、ニューヨークのクリスマスシンボルであるロックフェラー・センターに飾られるクリスマスツリーになりました。この木にちいさいフクロウが見つかったことはニュースになり、世界中の人がこのフクロウの回復を見守ることとなります。
伝記や実際にあったことに基づいた絵本を数多く手がけるジョナ・ウィンターとジャネット・ウィンター。ふたりは親子であり、『この計画はひみつです』(すずき出版)などの共著もあります。今回の絵本も、ニュースに感動して共同で作られたそうです。巻末の作者によるあとがきも合わせて読むと、物語の背景を知ることができて、より感動が増すことでしょう。
この書籍を作った人
公共図書館勤務を経て、現在は児童書の研究、翻訳をしている。訳書に、『としょかんライオン』(岩崎書店)、『ないしょのおともだち』(ほるぷ出版)、『いっしょにおつかい』(岩波書店)、『いもうとガイドブック』(少年写真新聞社)、「ちいさなエリオット」シリーズ(マイクロマガジン社)など、多数。
フクロウはただ見つめています
森で静かに暮らしていたフクロウが
初めて見るけしき
初めて聞くおと
初めて会うにんげん
純粋なまん丸の目で見つめるその世界が、どうかフクロウを傷つけませんように! 鼓動が早まり、祈る気持ちでページをめくりました。
絵はくっきりと丁寧に描かれていて、文章は全てひらがなとカタカナで書かれています。終始穏やかに語られる物語は、読み終わってからも私の心に静かな余韻を残しました。
自分よりも大きな力を前にしてもフクロウは何も語りません。全てを見つめる目は力強く、運命に身を任せながらしなやかに羽ばたきます。都市の豊かな暮らし、イルミネーションの人工的な美しさ、手放せない機械の便利さ。ただ、人間が歩きやすいよう敷き詰められたそのコンクリートの下には、小さな生き物のお家があったはずです。
2020年に実際にあった出来事を書いたこの絵本を手に取って、我が子に何かを感じて欲しい。成長する子どもの側に置いておきたい一冊です。
(ぱぴこさん)
クリスマスの奇跡…★
クリスマスが大好きなので、表紙のかわいさとタイトルにきゅん。
はじめは『環境破壊』がテーマかなと思って読み進めていきましたが、どうやら『動物愛護』のよう。 本当の主役は伐採されてしまった1本の大きな木かな?
あの憧れのNYの、有名なクリスマスシンボルの木だったなんてすてき! サンタクロースは出てこないけどクリスマスプレゼントのような心がほっこりするすてきな物語の贈り物です♪
でも一番の感動は…これが実際に起きた出来事だということでしょう。ぜひ、あとがきまでじっくり読んで欲しい。そこには、このおはなしをさらに深く感じられる、リアリティーあふれるストーリーが待っています♪
感動が止まらない…本当に【クリスマスの奇跡】!何度も読み返したくなる大切な一冊になること間違いなしです♪
(Cherieさん)
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