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出版社エディターズブログ
2023.07.12
新刊絵本『おきにいりのしろいドレスをきてレストランにいきました』(渡辺朋 作/高畠那生 絵)が刊行されました。
本作は、絵本のテキスト(文章)だけを対象にした、絵本コンクール「絵本テキスト大賞」の第10回の大賞受賞作。
2017年の受賞から6年を経て完成した本作について、編集を担当した編集部のSさんにお話を聞きました。
出版社からの内容紹介
女の子がお気に入りの白いドレスを着て、レストランに行くと、
白いドレスにケチャップが、ぽとっ……。
「ががががーん」
それを見たママは「げげげげーん!」
ママを見たパパは「ぞぞぞぞーん!」
女の子のショックは赤ちゃんにも、ウェイターさんにも、
パンにもビンにもコーンにも伝わって、
町中のみんなを巻き込んでの大騒ぎに!
\ 子どもたちが大笑い /
第10回絵本テキスト大賞受賞作。
連鎖していく擬音がおもしろい、ナンセンス絵本。
【 作者のことば /渡辺 朋】
「ママー、わたし、このドレスがほしい」
どれどれ…う、白い。
…ねえ、もしもこのお洋服を着てレストランに行くとするでしょ?
食べ物をお洋服にこぼすよね、そしたら「がーん」だよね、
「ががががーん」だよね、それを見た人は「げげげげーん」かもよ
「うふふ」じゃ、次の人はねえ……とまあこんな感じでこのお話はできました。
さあさ、皆さん、ご一緒に。
ががががーん!
ーー「ががががーん!」「げげげげーん!」など、文章はほぼ擬音だけなんですね。
ほぼ擬音だけの文章で、登場人物の連鎖する驚きの感情を擬音だけで描写した実験的な作品です。発想の自由さや奇想天外さ、女の子の心情を元に展開されるストーリーが評価され絵本テキスト大賞の大賞受賞が決まりました。
ーーどのように絵本づくりを進められたのでしょう?
作品の文章がほぼ擬音だけなので、イメージを画家の高畠那生さんとも共有して作品を作っていく必要があり、特に主人公の女の子の気持ちの流れについて、作者の渡辺朋さん、高畠さんとも、たくさん話しました。
――白いドレスにトマトソースがおちたショックは、レストランの中をかけめぐります。
女の子は「よろろろーん…」とショックをかかえながら、レストランから街へでてきますが、「ぎぎぎぎーん!」の音とともに、ワイヤーにつり下げられた不思議なギタリストが登場します。
このギタリストも、高畠さんがとても印象的に描いてくださいました。
試演で読み聞かせをしてみてよくわかったのですが、このギタリストの登場が、とても効果的なアクセントになっているんです。
ーー完成前のラフの絵やダミーも拝見しました。高畠那生さんは、このシンプルな文章から、これほど豊かでおもしろい世界をイメージされていて、すごいですね……!
本当にすごいですよね。
絵本の展開のイメージはお伝えしていましたが、高畠さんからラフをいただいたとき、この文章から、どうやったら、こんな世界を想像し生み出せるのだろうと、本当に驚きました。
この書籍を作った人
1978年岐阜県生まれ。絵本作家。主な作品に『ぼく・わたし』『チーター大セール』(ともに絵本館)『いぬのムーバウいいねいいね』(講談社)『おまかせツアー』(理論社)『ぞうの金メダル』(作・斉藤洋/偕成社)『飛んでった家』(作・クロードロワ/訳・石津ちひろ/長崎出版)がある。