ほら、トラがいる!
- 訳:
- なかがわ ちひろ
- 出版社:
- BL出版
絵本紹介
2025.07.09
あれ、満員電車の中に見えるのはトラのしましまのしっぽ? ほら、みて! 大きなしまもようの前足も! 毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは、『ほら、トラがいる!』。イギリス発の愛らしいこの絵本、いったいどんな内容なのでしょう。
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
しま模様の大きなトラが帽子をかぶり、トレンチコートを着て、新聞を読みながら電車にすわり、横目でペニーと目を合わせる。
人がたくさんいるはずの電車の中で、この心躍る状況に気づいているのは、ペニーと小さな男の子と私たち読者だけ。なんてワクワクするのでしょう。その上、ペニーはトラと少しずつ心を通わせ、とうとう話をつけて、うさぎのぬいぐるみを男の子に返してもらうのです。
「すごい! すごい! かっこよかったよ!」
トラを褒めるペニーの嬉しそうなことと言ったら。トラの得意気な顔と言ったら。もう私たちには出会う事ができないのかもしれない、子どもだけに見える破天荒で優しい世界。まるで映画を観ているような、ダイナミックで軽快な楽しい絵と言葉で味わうことができます。
トラの手は本物? それとも……
雨の日の地下鉄は、なんだかちょっと特別。傘をとじ、しずくがぽたんと落ちた時に「ガガガガガガガガガ!」と大きな音をさせてホームに入ってくる電車。満員の車内は熱気がこもっているみたいで、ちょっと落ちつかない。そんな時にペニーが目にしたのは、トラの手! それは本物? それとも勘違い? どっちだっていいですよね。だって、忘れられない特別で素敵な出会いがあったことは間違いないのですから。「ガガガ ガーオーッ!」もう地下鉄で大きな音がしたって、怖がらないですむ子が増えそうです。
この書籍を作った人
イギリスの児童文学作家。読み物のほか、歴史のノンフィクションも手がけ、約100冊の作品を出版している。おもな作品にポール・マッカートニーとの共著『High in the Clouds』、2009 年ロアルド・ダール・ファニー賞を受賞した『Stinking Rich and Just Plain Stinky』などのほか、『ヒエログリフを書こう!』(翔泳社)、『あわれなエディの大災難』(あすなろ書房)、『ムーミン谷のすべて』(徳間書店)などがある。
この書籍を作った人
イギリスの絵本作家。オックスフォード生まれ。アニメーションスタジオで働いたのち、子供向けの本のイラストなどを手がけ、初めての絵本『THE KISS THAT MISSED』で2002年ケイト・グリーナウェイ賞のショートリストに選ばれる。これまでに150冊以上の本を制作し、30以上の言語で出版されている。おもな作品に『おばけとしょかん』(評論社)、「こいぬのパッチ」シリーズ(小学館)などがある。
この書籍を作った人
1958年生まれ。東京藝術大学卒業。子どもの本を中心に翻訳家として活躍するとともに作家・画家として絵本や童話作品を数多く手がけている。『どうぶつがすき』(あすなろ書房)で日本絵本賞翻訳絵本賞、『天使のかいかた』(理論社)で日本絵本賞読者賞、『かりんちゃんと十五人のおひなさま』(偕成社)で野間児童文芸賞を受賞。翻訳作品に『ふしぎをのせたアリエル号』(徳間書店)『ちいさなあなたへ』(主婦の友社)『せかいでいちばんつよい国』(光村教育図書)など、絵本や童話に『のはらひめ』(徳間書店)『めいちゃんの500円玉』『ハンカチともだち』(ともにアリス館)『すてきなひとりぼっち』(のら書店)「おたすけこびと」シリーズ(徳間書店)「プリンちゃん」シリーズ(理論社)「まほろ姫」シリーズ(偕成社)など。そのほかに『おえかきウォッチング 子どもの絵を10倍たのしむ方法』(理論社)、カモを育てた体験をもとにした『カモのきょうだい クリとゴマ』(アリス館)がある。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。