べそべそむし
- 作:
- むらたゆり
- 出版社:
- あかね書房
絵本紹介
2025.12.26
「べそべそ べそべそ べそべそ。」引っ越してきた木にいたのは、朝から晩までずっと泣いているべそべそむし。それを見たとりは……。毎月発売される新作絵本の中から、絵本ナビが自信をもっておすすめする「NEXTプラチナブック」。今回ご紹介するのは『べそべそむし』。クセはあるけど、憎めない。そんなキャラクターたちが登場するこの絵本、いったいどんな内容なのでしょう。
NEXTプラチナブックとは…?
絵本ナビに寄せられたレビュー評価、レビュー数、販売実績など、独自のロジックにより算出された人気ランキングのうち、上位1000作品を「絵本ナビプラチナブック」として選出し、対象作品に「プラチナブックメダル」の目印をつけてご案内しています。
そして、毎月発売される新作絵本の中からも、注目作品を選びたい! そんな方におすすめするのが「NEXTプラチナブック」です。3か月に一度選書会議を行い、「次のプラチナブック」として編集長の磯崎が自信を持って推薦する作品を「NEXTプラチナブックメダル」の目印をつけてご案内します。
「ひぐれが はやくて さみしいよう べそべそ。」
「かぜが つめたいよう べそべそ。」
「べそべそ べそべそ べそべそ べそべそ。」
とりはついに大きな声で言います。
「いいかげんにして!」
泣きながらどこかへ行ってしまう、べそべそむし。
おとなりさんに意地悪をされて逃げてきたとりでしたが、今度は泣いてばかりのべそべそむしに悩まされ。でも、べそべそむしと木のじいさんはうまい具合に暮らしていたのです。
今、木のじいさんはどんな気持ちでいるのでしょう。べそべそむしの気持ちは? そしてとりの気持ちは? それぞれが考えた末に出した答えは。
誰もが強く生きていけるわけではないこの世界の中で、弱きものの居場所はいったいどこにあるのでしょう。自分の気持ちを曲げるわけでもなく、それでも相手に心を寄せていこうとするとりの毅然とした表情や、泣かずにはいられないべそべそむし、全てを受け入れていく木のじいさんの姿がそれぞれ魅力的で印象に残るこの絵本。決して他人事ではいられない心に刺さるテーマも含んでいながら、クセのある「おとなりさん」にだって愛着がわいてくるような、優しく愛らしいお話なのです。
「おたがいさま」がちょうどいい!?
「気持ち良く暮らしたいだけなの」と言うとりの気持ちはよくわかる。でも、木のじいさんも「べそべそむしとわしも、ずうっと気持ち良く暮らしておったんだがなあ」と言う。とりにとっての「おとなりさん」は木とべそべそむし。でも木とべそべそむしにとっては、とりが「おとなりさん」。みんな違うのはあたりまえ。けれど、どうやったらみんなが気持ち良く暮らしていけるのか……。これは今を生きる誰もが感じている課題なのかもしれませんよね。
この書籍を作った人
大阪生まれ、奈良育ち。長野在住。武蔵野美術短期大学 生活デザイン学科卒。美学校造形基礎Iで学ぶ。絵本編集者 小野明氏のワークショップで絵本作りを学ぶ。武井武雄記念(イルフビエンナーレ)日本童画大賞、第 6 回最優秀賞・第 7 回入選。第 19 回小学館おひさま大賞 入賞。第 5 回おおしま国際手づくり絵本コンクール2022 入賞。絵本塾カレッジ創作絵本コンクール入賞。絵本作品に『おとりひき』(イルフ童画館)がある。新聞や広告等のイラストも手掛ける。
磯崎 園子(いそざき そのこ)
絵本情報サイト「絵本ナビ」編集長。著書に『はじめての絵本 赤ちゃんから大人まで』(ほるぷ出版)、『ママの心に寄りそう絵本たち』(自由国民社)、監修に『父母&保育園の先生おすすめの赤ちゃん絵本200冊』『父母&保育園の先生おすすめのシリーズ絵本200冊』(玄光社)がある。