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絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  『おやすみのあお』 植田真さん、羽島一希さんインタビュー

《スペシャルコンテンツ》インタビュー

2014.10.02

『おやすみのあお』
植田真さん、羽島一希さんインタビュー

一覧を見る

───ページをパラパラとめくっていくと、ほぼ同じ場所に文章が配置されていることに気づいたのですが、やはりここにもこだわりがあるのでしょうか?

原画を見た瞬間に、「文字は、この世界のただ中に置きたい」と思ったんですよ。

───「ただ中」...?

絵本の文章って、6〜7 割はページの左上にあって、文字の色も黒が基本だと思います。ただ、 それを『おやすみのあお』でやると、 客観的で叙述的な表現になりすぎてしまうように感じて、上下から見て真ん中、『おやすみのあお』の世界のただ中に置きました。その場合、黒い文字にしてしまうと絵の世界を分断し てしまうので、黒に青を混ぜた色を文字に使いました。よく見ていただくと、わかると思います。

───本当だ! 黒と青が確かに混ざっている様に感じられます。

絵本をめくっていくと、普通は時間が流れて行ったり、物語が進行していったりしますよね。でも、『おやすみのあお』はページをめくっていっても、物語が進んでいくとは言い切れない。時間そのものが不定形で伸縮自由な世界だと思います。だからこれまた見返しの時のように最低限の一定さを通すために左側に文字を置くようにしました。

───あるタイミングで、文字が右側に来るところもありますよね。これはどういう意味が込められているんですか?

右に置くことは、時間の速さを変えていく感覚です。後半は植田さんの文章のスピードがアップして「おやすみのあお」という一文も出ないところがあるので、そのギアチェンジの感覚で、右に置きました。

───表紙、見返し、本文と見てきて、あとは背表紙の 部分ですが、ここに描かれている鳥の尻尾がちょっとはみ出しているのがカワイイと思いました。ここにもやはり、こだわりがありますよね。

こだわりという訳ではないですが、背幅の白地をほんの少し短くして、両端から青がちょっと見えるようなデザインにしました。そうすると、書店で棚に差されたとき、青い色がちょっぴり見えてかっこいいかなと思いました。

───たしかに、白い背表紙が並んでいる中に青い色が見えたら、書店でも目立ちますよね。羽島さんのおはなしを聞いて、デザイナーさんの絵本の関わり方の深さ、読み込みの深さに感動しました。

ぼくは、植田さんの描いた『おやすみのあお』の世界を自分なりに理解して、把握したうえで、寄り添うことができれば本望だなと思っているので、絵本を手に取った読者の方たちにもその思いが届いて、この作品の素晴らしさが伝わったらうれしいです。だから、絵本のデザインがどこまで作品のお手伝いができるかは、同じものはひとつとしてない、いつも緊張かつワクワクの体験ですね。

───植田さんは、羽島さんのおはなしを聞いて、 どう思いましたか?


こうやって羽島さんの口から改めて聞くと、『おやすみのあお』の世界を隅々まで理解してくれて、 それを最も美しい表現でデザインしてくれたのだと感動しますね。

───本当にそうですよね。『おやすみのあお』について、作家さんとデザイナーさんのお二人からおはなしを伺えて、とても幸せでした。最後に、絵本ナビユーザーへ、『おやすみのあお』のみどころ、メッセージを頂けますか?

『おやすみのあお』はタイトルにある様に、おやすみ前に読んでいただいてもいいですし、今回、お話ししたように、意識のおやすみの時間、想像のおやすみの時間など、皆さんのお好きな時間に手に取って、楽しんでもらえたら嬉しいです。 ぼくがこの『おやすみのあお』を作った背景には、最近の情報過多とも思える世の中に対する危機感のようなものがありました。毎日、SNSやインターネットから、大量の情報が 降りかかってくる。そうすると、世の中のことを知った気持ちになってしまうんですよね。 でも、情報だけでは分からないことの方が実際は多いと思うんです。

───例えば外国などは、写真で見るよりも実際に行った方がその国の人々であったり、 状態であったり、匂いであったり、色々感じることができますよね。

そうなんです。情報がたくさん手に入ることは、豊かかもしれないけれど、辛いと感じることもあると思うんです。自分だけが知らない...という恐怖だったり孤立感だったり。でも、情報だけでは、ニュアンスまでは伝わらないし、本当の意味で「知っていること」にはならないと思うんです。そう考えると、ぼくたちが知っていることって、実は今でもすごく狭い範囲のことだけなんじゃないか...って。知らないことの方がたくさんあるということに気づくだけでも、解放される子どもがきっといると思います。『おやすみのあお』は、本来は眠りの世界に入っていて、見ることのできない外側の時間を描いています。知らないことがたくさんあるということが、希望であったり、何らかの救いになってくれればいいなと思います。

───私も普段、意識をしていない世界を感じること、空想することが救いにつながると、『おやすみのあお』を通して感じることができました。今日は本当にありがとうございました。

【撮影協力】
取材の日、ウレシカでは、植田真さんとnakabanさんの二人展「夜明けまでにはまだ時間がある。」の開催中でした。会場にいらしていたnakabanさんと記念の2ショット!

URESICA(ウレシカ)
住所:東京都杉並区西荻北2-27-9 
TEL:03-5382-0599
open:12:00〜20:00
定休日:火・定休(水・不定休)
※イベントによって変更あり ※臨時休業あり

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インタビュー: 磯崎園子 (絵本ナビ編集長) 
文・構成: 木村春子(絵本ナビライター)


【お知らせ】


『 おやすみのあお』(佼成出版社刊) 発刊記念
「植田真さん、羽島一希さんトークイベント&サイン会」

 
「おやすみのあお」の作者・植田真さんと、装丁を担当された羽島一希さんお二人に
絵本作りについてお話しいただきます。
青を基調とした心癒される今作品の背景など、素敵なお話がたくさん伺えます。
ぜひ、ご参加ください。

【日 時】 2014年11月03日(月・祝)15時から
【場 所】 MARUZEN&ジュンク堂書店・梅田店 7階 salon de 7
【定 員】 30名(要予約)
【予約方法】 MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店1階レジカウンター、またはお電話にてご予約承ります

<サイン会>
【日 時】 2014年11月03日(月・祝) トークイベント終了後
【場 所】 MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店 7階 salon de 7
【定 員】 サイン会のみ100名(要予約)
【予約方法】 MARUZEN&ジュンク堂書店梅田店1階レジカウンター、またはお電話にてご予約承ります

※イベント終了後、トークイベント参加のお客さまからサイン会をいたします。

【 お問合せ先】 MARUZEN&ジュンク堂書店 梅田店
電話番号:06-6292-7383
営業時間:10時00分〜22時00分 

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植田 真(うえだまこと)

  • 1973年静岡生まれ。『イラストレーション』誌「ザ・チョイス」1998年度・大賞受賞。絵本、装画、挿絵、CDジャケット、広告の仕事など、幅広く活躍している。自作の絵本に『スケッチブック』(ゴブリン書房)『マーガレットとクリスマスのおくりもの』(あかね書房)、『まじょのデイジー』(のら書店)、『おやすみのあお』(佼成出版社)、挿絵に『クマのあたりまえ』(魚住直子・作 ポプラ社)、『わたしのおじさん』(湯本香樹実・著 偕成社)、『都会のアリス』(石井睦美・作 岩崎書店)、『窓の向こうのガーシュウィン』(宮下奈都・著 集英社)ほか多数。

作品紹介

おやすみのあお
おやすみのあおの試し読みができます!
作:植田 真
出版社:佼成出版社
全ページためしよみ
年齢別絵本セット