───「めがねうさぎ」シリーズ40周年、おめでとうございます。シリーズ1作目の『めがねうさぎ』が出版されたのが1975年。絵本ナビのユーザーさんの中には、子どもの頃に読んだという方も多いと思います。
───では、『めがねうさぎ』の主人公、うさこのモデルは息子さんだったんですね。

───絵本のモデルになるなんて、嬉しいことのように思うのですが、意外です。「めがねうさぎ」シリーズは、おばけも重要なキャラクターですよね。おばけにはどなたかモデルがいるんですか?
───普遍的な形なのに、目にした誰もが「せなさんのおばけ!」と分かるほど、特徴的なおばけですが、この形にした理由はあるんですか?
水木しげるさんの描くおばけや、ほかのおばけの絵も沢山見たけれど、子どもに見せるのだから、本当に怖くてはいけない。楽しいおばけを作ろうと思って描いています。これが動物なら、うちに一匹飼っておくんですが、そういう訳にもいかないですからね(笑)。
───たしかに……(笑)。おばけは飼えませんが、動物は色々飼われていたんですか?
動物は大好きだったので、色々飼いました。イヌもネコも、ウサギもね。
───ウサギも?! では、絵本に出てくるうさぎは、せなさんが飼っていたウサギなんですか?
ウサギは2匹飼っていて、1匹は「うさんごろ」で、もう1匹は「はんしろう」。「はんしろう」は絵本にも登場しますね。

───うさぎの「はんしろう」シリーズ(グランまま社)ですね。そんなにたくさんの動物を飼われていたなんて、驚きです。
私はすぐに触っちゃう方だったので、たくさん仲良しがいてね(笑)。若い頃、一時期コピーライターのアルバイトをしていたことがあって、映像作品を作るときに、撮影班と一緒に動物園に取材に行ったことがあったの。その動物園のチンパンジーが私に懐いて、おりの中から出てきて私に飛びついてきたの。私、嬉しくってね、大喜び。今でも、チンパンジーの絵を見ると、あのとき、抱っこした匂いを感じるんです。
───チンパンジーにもせなさんの動物好きが分かったんですね。『めがねうさぎ』が出版されて、1年後には2冊目の『おばけのてんぷら』が出版されました。『めがねうさぎ』で、うさこに代わってめがねを探してくれた“あの”おばけが、今度はてんぷらにされそうになっちゃう! 『おばけのてんぷら』のアイディアはどのように生まれたんですか?
───どんな味なんでしょう? わたしも食べてみたいです。3冊目の『めがねうさぎのクリスマスったらクリスマス』は2002年。『おばけのてんぷら』から26年経っています。

うさこの洋服は包み紙?!
───せなさんは貼り絵で絵本を制作されますが、うさこの洋服の紙は特別な紙なんですか?
鎌倉の文房具屋さんに売っている、包み紙です。この柄がとても気に入ったので、しょっちゅううさこに着せているの。気に入った紙は、余分に買っておいて、作品を作るときにいつでも使えるようにしています。
─── 作品を良く見ると、はさみを使っているところと、手を使っているところがあるように思うのですが、絵を制作するときの道具のこだわりなどはありますか?
───紙を切るという簡単に思える作業にも、こだわりがあるんですね。2005年には「めがねうさぎ」シリーズ4作目となる『めがねうさぎのうみぼうずがでる!!』が発売されました。今回もおばけはうさこを驚かせようとしますが、その方法がうみぼうずに泳ぎを習うこと! おばけが泳げないということをはじめて知りました。

───うみぼうずの訓練で泳げるようになったおばけが「うみぼうずは くろいものだぞ!」といわれて、黒くなるために真っ黒に塗ってみたり、毛糸で服を作ったりする場面が特にかわいいですよね。そして、やっぱりうさこを怖がらせることができないおばけ……。おばけなのに、うさぎに負けてしまっている所も、せなさんのこだわりなのでしょうか?
───なるほど〜〜〜。おばけではなく、うさぎがせなさんなんですね(笑)。現在4冊出ている「めがねうさぎ」シリーズですが、一番作るのが難しかった作品はありますか?

───そうして絵本にすると、お子さんから「いい子にしてないと、ママに絵本にされますよ!」と警戒されちゃうんですね(笑)。せなさんのおはなしを伺うと、身近な家族とのやり取りから絵本の題材を見つけられているんだな……と改めて思いました。今、「めがねうさぎ」のグッズがたくさん出ていますが、ご自身が描かれた絵本のキャラクターがグッズになっているのはどういうお気持ちですか?