●5才までに「一音一音ハッキリ読み」を身につけよう!
───先ほど、小さな子どもを持つお母さんを対象に、全国で古典文学の音読会を行っていると仰っていましたが、音読会ではどんな作品を取り上げているのですか?
基本的には、最初に古事記の元となったといわれる古代語「カタカムナ文献」を最初に音読します。『徒然草』の音読をするよりも、カタカムナの音読をした方が、子どもたちの国語力はアップします。その後、『古事記』、『万葉集』、『古今集』と読みます。

───そんなに、たくさんの作品を読まれるんですね!
いえいえ、まだ続きます(笑)。
───……学生時代にやった現代語の授業を、超スピードで振り返っている気分になりました(笑)。日本語の音を身につけるのはかなり大変なことですね。
改めて勉強をすると思うと、ハードルが高いですが、戦前は学校で古典文学を音読して、家ではお祖母さんがお経を唱えていて、お祖父さんが俳句を読んでいて、お母さんが昔話を語ってくれて……ということが日常でした。だから、自然と美しい日本語が耳から入ってきて、日本語了解能力も高かったんだと思います。

───今はなかなか、そういう環境になることが少ないから、松永さんが「音読会」で多くのお母さんたちに提唱しているんですね。
最初のうちは、古典文学の日本語を音読している「ふり」をするだけでも良いと思います。そうすると、子どもに古典文学の持つ美しい音が入ってきますし、合わせて、本を読む環境も定着します。それだけでも十分です。逆に、5歳くらいまでの時期に母親が汚い言葉を発していたり、テレビを流したままになっているようだと、日本語了解能力の習得は非常に困難になります。
───この「一音一音ハッキリ読み」はお父さんもできることなのでしょうか?
もちろんできます。ただし、女性の方が基本的に協調性が高いのか、「一音一音ハッキリ読み」を習得する速度は男性よりも早いと思います。
───今回は「一音一音ハッキリ読み」のことを中心に、おはなしを伺いましたが、『将来の学力は10歳までの「読書量」で決まる!』には、本を読まずにはいられない「環境」の作り方や、自分からどんどん読書する子になる方法など、日本語了解能力を習得するための実践的な内容がたくさん紹介されているので、続きはぜひ、本を読んでもらいたいと思います。最後に、絵本ナビユーザーのみなさんに向けて、この本のみどころを改めて伺えますか。

私は、単に勉強ができるだけではなく、その子が幸せに、健やかに伸びていくことを目標に長年教育に携わってきました。
───ありがとうございました。
●編集後記
30年以上、教育現場から子どもとその親と接してきた松永さん。インタビューではその膨大な知識の中から、日本語の「音」にスポットを当て、「古事記」から樋口一葉の「にごりえ」まで、日本文学史に輝く名文について解説してくださいました。文字では残せませんでしたが、朗々と文章を謳いあげるような場面もあり、言葉と共に音が体の中にまでしみ込んでいくような感じがしました。
インタビュー・文: 木村春子(絵本ナビライター)










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