絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  しかけ絵本『不思議の国のアリス』制作秘話! ロバート・サブダさんインタビュー

初めてのしかけ絵本との出会いは歯医者で

───これまでたくさんの素晴らしいしかけ絵本を生み出してきたサブダさん。 サブダさんの子どもの頃についても少しお聞きしたいと思います。小さい頃は、どのような子どもでしたか。将来はどんな職業につきたいと思っていたのでしょうか。

子どもの頃は、いつも絵を描いたり、色を塗ったり、紙を切ったり貼ったりして、過ごしていました。だから、私のベッドルームは、いつでも鉛筆の削りくず、湿った絵筆や紙の切りくずの山でした。その頃から、将来は、きっとアーティストになるんだと感じていました。

───初めて影響された、しかけ絵本との出会いについてお聞きしたいのですが・・・。

歯医者さんの待合室に母といた時です。その時、私は8歳でした。とても怖がっている私に、母が絵本の入ったかごの中から、絵本を1冊、手渡してくれました。その本が特別な本だとすぐにわかりました。絵本はとても厚くて、高そうなハードカバーの本でした。絵本を開いてみると、突然何かが飛び出したんです!衝撃的でした。これが、私としかけ絵本との出会いです。この時の感動が、あまりにも強烈で、家に帰るとすぐに、どうやったら同じような物が出来るのか、早速自分で作ってみました。

───初めてのポップアップをつくった当時の環境や何か印象に残る思い出があったら教えてくれますか。


サブダさんの最初の作品!

私は、ミシガン南東部のピンクニーという小さな片田舎で育ちました。
湖の近くに構えたつつましい家で、母は私や兄妹が寝る前に、毎晩本を読んで聞かせてくれました。私は、クレヨンを持てるようになると、絵が描けることに気がつきました。何時間、何日も、何週間も、描いたり、塗ったり、切ったり、貼ったりしていました。
毎年、母のダンススクールでは、生徒たちによるリサイタルがあるのですが、そのショーのための舞台装置や背景も作っていました。絵の具やキラキラ光る小さな飾りを衣装やベニヤ板に飾り付けて、これから始まるであろうリサイタルの不思議な世界を作ることに夢中でした。学校では、先生も私がアートを大好きなことを知っていたので、掲示板を作ってもらいたいとよく依頼されたものです。

この幼い頃のもの作りによって、紙はただ描いたり、色を塗ったりするだけではないのだと気づきました。たくさんの紙を折って、真ん中をホチキスで留めて本を作ったことも、子どもの私にとっては大きな発見でしたね。すぐに簡単な物語や楽しい絵を描いて、本を作り始めました。誕生日のプレゼントには、しかけ絵本をよくもらいました。初めてのしかけ絵本を作ったのは、8歳の頃です。しかけ絵本の技術をもっと学びたかったのですが、当時はそういったしかけを学べる本などなかったので、
たくさんのしかけ絵本を入手しては、その絵本を自分で観察して、見よう見まねで作っていたのを覚えています。

ロバート・サブダの白のしかけ絵本

───サブダさんの作品には、『クリスマスの12日』や『冬ものがたり』、最新作では『ハヌカーのあかり』に代表される白い紙を基調としたしかけの作品があるのですが、「アリス」のような物語を原作にしたカラフルなしかけ絵本とまったく作風が異なりますよね。なぜでしょうか。

作品のスタイルは、そのしかけ絵本に最適なスタイルは何かと考えて選んでいます。私のしかけ絵本に、白が多い理由の一つは、アメリカ中西部の出身だということがあるかもしれません。そこは、冬の間はたくさんの雪が降ります。私自身、雪は大好きで、その真っ白さが持つ、純真さと静けさが大好きです。そのため、私の作品には白い作品が多いのかもしれません。

───だから、白の作品には雪を連想させる冬のテーマが多いのですね!納得です。雪国ならではの印象深い冬の思い出がありますか。

ある年、8歳の時だったか、かなり雪が降って、3週間も学校へ行けなかった事がありました。私と兄妹たちは、こんな素晴らしい事があるのだろうかと喜んでいましたが、おそらく母は困っていたかもしれませんね。


『冬ものがたり』冬支度をするキツネの親子

サブダさんの故郷を思わせる雪景色


『しろいふゆ』ページを開くと美しい雪の結晶が

ソリを楽しむ子どもは幼い頃のサブダさんかな?

───しかけ絵本作家として、はじめてのしかけ絵本『クリスマス・アルファベット』も、白の作品でしたよね。

雪のもつ白さも大好きなのですが、クリスマスも大好きなんです。一年を通した祭日の中でも、一番のお気に入りの祭日です。私のしかけ絵本には、クリスマスを扱った物がたくさんあります。その絵本の中には、動物達もたくさんでてきます。恐らく、私がたくさんの動物に囲まれて育った環境も影響しているのかもしれません。


『クリスマス・アルファベット』

Aから始まるアルファベットにちなんだしかけの数々


『愛蔵版クリスマスの12日』

よくみるとクリスマスツリーの後ろにやはり動物が!


『ナイト・ビフォー・クリスマス』

クリスマスが待ちきれない!わくわくのしかけがたくさん

───だからサブダさんの作品には、クリスマスの作品がこんなに多いのですね!
美しい白のしかけは、本当にクリスマスのテーマに合いますよね。あらためて見返してみると、必ずしかけ絵本の中に、動物も登場しています。豊かな自然に囲まれて育ったサブダさんならではの表現なのですね。

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ロバート・サブダ(ろばーとさぶだ)

  • ニューヨーク・タイムズ紙上で、児童書のベストセラーの創作で知られるロバート・サブダ。
    1965年3月8日にアメリカ・ミシガン州の田舎に生まれました。若い頃からアーティストとしての才能に恵まれ、両親や先生たちの応援もあって、生涯を創作活動に没頭することを心に決めました。
    プラットインスティテュートに奨学生として入学し、卒業後は児童書のイラストレーターになりました。彼のアート原稿は、豪華なコラージュから驚異のポップアップの構造物までと、非常に幅広いものでした。
    これまでに、ロバート・サブダは優れた動く絵本(Movable Book)作品に与えられるメッゲンドルファー大賞を二度も受賞しています。彼の作品は、アメリカ図書館協会の“注目すべき書籍”の常連になりました。

    またサブダは、テレビ番組『Today Show』と『Good Morning America』に定期的に出演しています。

作品紹介

不思議の国のアリス
作・絵:ロバート・サブダ
原作:ルイス・キャロル
訳:わく はじめ
出版社:大日本絵画
オズの魔法使い
作:ロバート・サブダ
原作:ライマン・フランク・ボーム
絵:ロバート・サブダ
訳:わく はじめ
出版社:大日本絵画
恐竜時代
作:ロバート・サブダ マシュー・ラインハート
絵:ロバート・サブダ マシュー・ラインハート
訳:わく はじめ
出版社:大日本絵画
クッキーカウント
作・絵:ロバート・サブダ
訳:わく はじめ
出版社:大日本絵画
ナイト・ビフォー・クリスマス
作:クレメント・ムーア
絵:ロバート・サブダ
訳:きたむら まさお
出版社:大日本絵画
愛蔵版 クリスマスの12日
作・絵:ロバート・サブダ
訳:きたむら まさお
出版社:大日本絵画
クリスマス・アルファベット 新装版
作・絵:ロバート・サブダ
訳:きたむら まさお
出版社:大日本絵画
しろいふゆ
作・絵:ロバート・サブダ
訳:永瀬 比奈
出版社:大日本絵画
冬ものがたり
作・絵:ロバート・サブダ
訳:わく はじめ
出版社:大日本絵画
ハヌカーのあかり
文:マイケル・J・ローゼン
絵・紙工作:ロバート・サブダ
訳:菊池 由美
出版社:大日本絵画
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