絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  シリーズ累計180万部突破! 「動く図鑑MOVE」シリーズ最新刊『動物 新訂版』 監修者・山極寿一さんインタビュー

少しでも新しい情報を紹介したいと、創刊4年というスパンで新訂版を出版。

───最新刊「動く図鑑MOVE」は『動物 新訂版』。以前の「動物」も迫力のある写真がたくさん紹介されていましたが、今回はさらにパワーアップされていました。そもそも、なぜ「動物 新訂版」を作ることになったのでしょうか?

森定:動物もふくめて科学の世界は、日々情報が新しくなります。動物は、近年の遺伝子研究などにより、分類が変わったところもありますし、新たに撮影されたおもしろい写真、迫力のある写真も、毎年増えています。また、研究が進み、今まで常識と思われていたことが、じつは事実ではなかったということも、しばしば報告されています。少しでも新しい情報を、良いかたちで届けたいという理由から、創刊4年という短いスパンでしたが、新訂版を出そうと決めました。

───新訂版制作に当たり、山極先生に監修をお願いしたのはなぜですか?

成清:山極先生がゴリラをはじめとする霊長類研究の第一人者の方で、且つ動物全般についても深い知識をお持ちであったこと、ご縁があったことなど様々ですが、大きな理由のひとつは、「フィールドワーク」を大切にされているということでした。

───フィールドワーク……なぜ、フィールドワークを大切にされていることが重要だったのでしょうか?

成清研究者の中には、文献を中心に研究される方もいますし、もちろんそのような研究もとても大事なことですが、『動く図鑑MOVE 動物』では、できる限り、リアルで迫力のある生態を伝えたいと考えていましたので、実際にフィールドに何度も足をはこんで、動物を間近に観察されている山極先生ならまちがいなく、有益なアドバイスをくださると思いました。実際に、監修をお願いするなかで、本や資料を読んでいただけでは気づけなかったことも、たくさんアドバイスをいただいたので、本当に感謝しています。

───旧版も迫力ある写真を多用し、読者の度肝を抜きましたが、新訂版はさらに躍動感あふれる写真が多数掲載されています。特に、旧版から変化させようと思った部分を教えてください。

成清:旧版は紹介画像をイラストにしていたのですが、それを今回もイラストにするか、写真にすべきかではじめは悩みました。イラストであれば、描き方によって、細かいところや、体全体を説明できるなど、よい点があります。しかし、リアリティや迫力、1枚の画像から得られる情報量という点でみると、やはり写真にはかなわないなと感じ、写真にすることにしました。

───なるほど、イラストから写真に変えると、動物の迫力、印象がガラッと変わって見えますね。

森定:「動く図鑑MOVE」のコンセプトは「興味をもつ入り口」になることです。それであれば、細かいところを丁寧に説明することよりも、「びっくりするような写真をいっぱい載せたい!」と思いました。載せるからには大きくのせて迫力を出したいと思い、なるべく面白い写真は大きく使おうと意識しました。巻頭にグラビア写真のページをもうけたのも、そのような理由からです。

───新訂版を出したときの読者の反応はいかがでしたか?

成清:ありがたいことに、「写真がよかった!」という感想をも多くいただいています。写真を大きくたくさん載せたらページが増えてしまったのですが、値段はそのままなので、むしろお得になりました!

森定:写真というのは、今目の前で起こっている事実をとらえたものであるから、そこで見えていることはまぎれもない事実。1枚の写真から、今まで知られていなかった事実が明らかになることも多く、それも写真にしたい理由のひとつでした。

成清:ただ、写真にも限界はあります。山極先生もおっしゃっていましたが、動物は1種だけで暮らしているわけではなく、いろんな種類の生き物と互いに関わり合いながら暮らしています。どんなところで、どんな生き物が関わりながら暮らしているのかなど、生き物の本来の暮らしぶりを伝えるためには、イラストを描き下ろしたほうが、わかりやすい場合もあります。そのため、「日本の里山にすむ動物」のように、動物たちのくらしをわかりやすく伝えるイラストもくわえました。また、「体のしくみ」や「巣穴ってどうなってるの?」など、撮影の難しいものを図解イラストで描き下ろしたりもしています。

───お二人のオススメのページを教えていただけますか?

森定:どのページのも思い入れがあって、決めるのがとても難しいのですが、山極先生もおっしゃっていた、「おどろき動物ニュース」のページでは、まさに「おどろき!」がつまった写真を集めています。特にオコジョの写真は、2015年に報道されたばかりのもの。「コウモリvs.カエル」の決定的瞬間も必見です。

───写真はもちろん、系統樹や情報部分にも学会で報告された最新情報を載せているという、『動く図鑑MOVE 動物新訂版』、ぜひ多くのお子さんや親御さんに読んでほしいですね。絵本ナビでも大プッシュしていきたいと思います。今日は、ありがとうございました。

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山極寿一(ヤマギワジュイチ)

  • 1952年東京生まれ。京都大学理学部卒、同大学院理学研究科博士課程修了。理学博士。カリソケ研究センター客員研究員、(財)日本モンキーセンター・リサーチフェロー、京都大学霊長類研究所助手を経て、現在京都大学大学院理学研究科教授。世界の霊長類研究の第一人者。

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