絵本ナビホーム  >  スペシャルコンテンツ  >  インタビュー  >  ひかりガイドと音に合わせて、楽しくたいこ遊び!『ポカポカフレンズ たいこでポン』 編集者 清水剛さんインタビュー

たいこを叩く遊びを使った、絵本を作りたい!

───『ポカポカフレンズ たいこでポン』は、まるでたいこを叩くリズムゲームをしているような、遊べる絵本ですね。この絵本はどのように制作が進んでいったのでしょうか?

通常、こういうモジュールを使った企画の場合、モジュールメーカーさんにいくつかのサンプルラフを上げてもらい打ち合わせを行います。その中から、しかけ付きの絵本に発展しそうなものを協議し、企画を練っていきます。今回の『ポカポカフレンズ たいこでポン』は、音楽ゲーム「太鼓の達人」のような絵本を作りたいと思ったことがきっかけなんです。

───「太鼓の達人」は音楽に合わせて、太鼓を打つリズムゲームですね。

「太鼓の達人」は太鼓型の入力デバイスと、ゲームソフトそしてテレビがないとプレイできません。それを、「ポカポカフレンズ」シリーズの大きさの中で再現できたら、多くの子どもたちに遊んでもらえるのではないか……と考えました。そう考えていたら、ちょうどモジュールメーカーさんとの打ち合わせのときに、先方から「叩く動作ができる何かを作りませんか?」と提案いただきました。

───清水さんの心の中を読んでいたみたいですね。

たしかに、ちょっとドキッとしました(笑)。「ポカポカフレンズ」シリーズでは既刊に「ポカポカフレンズのおんがくえほんシリーズ」があり、その中で、たいこやもっきんなど打楽器が登場しました。「ポカポカフレンズのおんがくえほんシリーズ」の中のたいこは、両手を使って叩くコンガのようなたいこでした。今回は、日本の和太鼓のようにばちをつかって叩くたいこにしたい。さらに、ゲーム性を持たせた絵本を作りたいと企画を進めていきました。

───ゲーム性というのは、「ひかりガイド」に合わせてたいこを叩くことですよね。

はい。さらにゲーム性を高めるために「ひかりガイド」に合わせて正しく叩けた回数によって、ファンファーレが鳴るなどの採点機能をつけしました。

───光が徐々にたいこに近づいてきて、☆マークのところで叩くといい音が出るようになっているんですね。仕組みがとても凝っていて、リズムに合わせて完璧に叩けたときに、すごく達成感がありました。たいこの音も何パターンかあるようですが、音楽によって変わるのですか?

左右違う音の組み合わせで、7通りの音が出るようになっています。オーソドックスな「大太鼓と鼓」以外に「シンバルと拍手」「キランとコロコロコロ」「ポワワワとピヨヨヨン」などユニークな音も出ます。音は曲を選ぶたびにランダムで変わるので、同じ音楽でも叩いたときの音が違っているのも楽しんでいただけると思います。

───「ポワワワとピヨヨヨン」どんな音が出るのか、気になります。たいこの大きさに大小があるのも、特徴のひとつですよね。

はい。採点機能を付けることを考えたとき、2つあるたいこの左右の大きさを変えれば叩くテクニックもより高度になって、幅広い年齢のお子さんに楽しんでいただけるだろうと思いました。小さいお子さんは、ひとつのたいこを使う優しい曲からスタートし、大きいお子さんは、両方のたいこを使う曲を選んでいただければ、きょうだいや親子でも十分楽しめると思います。

───遊ぶ曲が20曲もあるのも、長く楽しめるポイントだと思います。

曲のセレクトも、幅広い年齢のお子さんに楽しんでいただけるよう、曲のジャンルも童謡、アニメソング、英語の曲、Jポップにまで広げて選びました。さらに、たいこを叩くレベルに合わせて3段階に分けてあるので、はじめて遊ぶお子さんもすぐに楽しんでもらえると思います。

─── 曲のセレクトは清水さんが行っているのですか?

そうです。ミキハウスではいろいろな音の出る絵本を発売しているので、それらと比較して、子どもたちになじみ深い曲、最近の人気ソングなど約100曲近い候補の中から厳選しています。

───100曲の中から?! すごいですね。

選ぶ基準はたいこで叩くときに、リズムと合わさって心地よいもの、それとレベルに合った曲の長さや、叩く回数、難易度なども考慮しています。

───「レベル1」をクリアしたら、「レベル2」、「レベル3」へと、上達していく様子を実感できるのは嬉しい機能だと思います。

「レベル3」の「おどるポンポコリン」や「となりのトトロ」は大人でもすぐにクリアできないくらい、難しいと思います。でも、小学校低学年くらいのお子さんなら、意外とすぐにクリアしてしまうかもしれません。そういうところもこの絵本の楽しみ方のひとつ。ぼく自身、大人と子どもが一緒に夢中になれるようなリズム遊び絵本になるように、曲のセレクトにはこだわりました。

─── 特にお気に入りの曲はありますか?

世代的に「WAになっておどろう〜ILEAIYE〜」は絶対外せない! と思って入れましたね(笑)。

───30代のお父さんお母さんは懐かしさを感じる方も多いと思います。そのほか、モジュールの作りにもかなりこだわりがあると感じました。

そうですね。例えば、たいこの角度。絵本なので角度がなくても良いように思うのですが、叩きやすさにこだわって、少し傾斜をつけています。それとスピーカーの部分も音がより聞こえるように溝の深さや幅など、いろいろサンプルを作って検討し、今の形にしています。あとは配色にもこだわりました。

───配色ですか?

モジュール部分の色にブルーなど涼しげな色合いのサンプルもあったんです。でも、たいこを叩く遊びなので、日本の祭りをイメージして、明るく元気な雰囲気がいいだろうと、今のオレンジ色に変更しました。たいこに描いてあるイラストのデザインも、何パターンか候補があったのですが、祭りらしい三つ巴の柄が目を引くデザインを採用しました。

───遊び方の部分だけでなく、全体的なデザインや色まで、細かい部分にもこだわっているのですね。

こういった細かい部分は、遊んでくださるお子さんたちはあまり気づかないところだと思います。しかし、私たちは、絵本を作っているとともに、「ミキハウス」のブランドイメージを作っているという気持ちを常に持ちながら、仕事をしています。

───「ミキハウス」のブランドイメージとは?

「ミキハウス」は子供服のブランドとして、子育て中のパパママはもちろん、おじいちゃんおばあちゃん世代など、幅広い層、多くのお客様に支持していただいています。お子さん、お孫さんに買われる洋服と同じような安全で、長く、繰り返し使える高品質の商品を、絵本にも求められているんです。そのため、『ポカポカフレンズ たいこでポン』のようなモジュールを用いるタイプの絵本は特に、作る過程で検査項目を増やして、より安全で、長く使っていただけるものを提供できるようにしています。

─── 清水さんをはじめ、スタッフの方も何度もチェックされているのではないですか?

もちろんそうです。ぼく以外にも、制作チーム全員で数えきれないくらいたいこを叩いて、遊んで、チェックをしています。実際に叩いてみると、光の出るタイミングが合っていなかったり、音と微妙にずれていることにも気づくことができ、その部分も反映されています。

───そのようにして、ブランドイメージを保つため、日々研鑽を重ねているんですね。

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作品紹介

ポカポカフレンズ たいこでポン
絵:さつき ねむ
出版社:三起商行(ミキハウス)
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