●歴代編集者さんに、思い入れの深い作品を教えてもらいました。
───『いろいろ たまご』『いろいろ ごはん』が発売された後は、年に1回のペースでシリーズが続いていきます。その間に、編集者さんも変わっていったのですね。
宮本:そうです。私は『いろいろ たまご』から『いろいろ いちご』の途中まで、次に引き継いだ山田は『いろいろ いちご』の途中から『いろいろ やさい とこやさん』まで。今は、島アに引き継いでいて、最新刊『いろいろ おすし』が出版されました。
───続編を作る話は、早い段階から決まったのですか?
宮本:2006年7月に2冊同時発売をして、それほど時間を置かずに、「ほかの食べ物で、続編を作ることもできますか?」と相談したように思います。
───そこから、9冊もシリーズが続いているのは、すごいことですよね。
ご自身が担当された作品の中で、それぞれ思い入れ深い作品を教えていただけますでしょうか?
宮本:特に印象に残っているのは『いろいろ いちご』です。この作品のラフを待っているときに、山岡さんからお電話をいただいたことがありました。山岡さんはとても嬉しそうに、いちごたちが山登りをしていって、最後にパフェになるというアイディアを話してくれたのですが、当の私が「いちごが山登り……?」とまったく理解できていなくて(笑)。後日、山岡さんからラフをいただいて「あのときの電話はこのことを言っていたのか!」と納得しました。
つぶつぶいちご つぶぞろい。 きょうはみんなで やまのぼり。 ひるねをはじめたいちごは、ぽかぽか、とろとろーんと、ジャムに。 ダンスをはじめたいちごは、くるくる、ふるふるーんと、ムースに。 おやまのてっぺんをめざすうち、変身していくいちごたち。 そして、さいごはみんなで・・・!? 絵本ナビでも大人気、『いろいろごはん』『いろいろたまご』をはじめとした 山岡ひかるさんの“おいしい絵本”に、 また、かわいくて、とびきりおいしそうな1冊が加わりました! リズミカルなことばとおいしそうな絵で、 どんどん変身していくいちごにワクワク! みんなが大好きないちごスイーツが勢ぞろいして、 甘〜い香りがしてきそう。 親子で楽しく「味わって」くださいね。
───前4作と同じく、いちごからジャムやムース、アイスクリームに変身するのですが、その変身の仕方が前作よりもストーリー性があって、楽しいですよね。
宮本:みんなで並んで山登りをしていく間に、次々変身していくのがとてもかわいいです。シリーズの中でも特に人気の一冊なんですよ。
───山田さんはどうですか?
山田:私は『いろいろ やさい とこやさん』ですね。
- いろいろやさい とこやさん
- 作:山岡 ひかる
- 出版社:くもん出版
「きょうは、カットをお願いします!」 もっさり頭の野菜たちが、つぎつぎ床屋さんへやってきます。 もじゃもじゃ頭のブロッコリーが……のびすぎた髪のとうもろこしが……おもい頭の長ねぎが…… チョキ チョキ チョッキンザッザッ ザクザク シュシュシュシュシュ〜 あーら、すっきり大変身! おまけに、切ったところは美味しい料理になっちゃった!!かわいいはり絵とリズミカルな言葉が大人気、山岡ひかるさんの「いろいろシリーズ」最新刊(8巻目)です。 『いろいろごはん』『いろいろたまご』『いろいろいちご』など「いろいろシリーズ」で食べることが大好きな親子の心をがっちりつかんできた、山岡ひかるさんの最新刊です。本書の魅力は、なんといっても作者、山岡ひかるさんの作りあげる「はり絵」。おいしそうな絵は、カッター1本で切り抜いていくという、気の遠くなるような作業によって生み出されています。
───野菜たちがとこやさんに行ってイメージチェンジ! さらに美味しい食べ物まで完成するという、楽しい展開の絵本ですね。
山田:野菜たちの髪型をどうするか、山岡さんはかなり考えられていました。あまりにも現実離れした髪型にしたくないと思っていらして、実際に野菜を買ってきて、カットしてみたそうです。私も、ブロッコリーを買って、どう切ったら格好よく見えるか、試して報告したこともあります。そのかいあって、ブロッコリーの髪型、音楽グループのEXILEの人たちみたいですよね(笑)。
───たしかに(笑)。普通は野菜を切ったら小さくなったり、弱くなったりしそうですが、絵本に出てくる野菜たちは、すっきり整って元気いっぱい。ネギなんて特に若々しくなりましたね。
山田:切られるという行為が、読者にこわく見えないよう、切られた瞬間には分身したり、野菜たちの表情を明るくしたりして、山岡さんはいつもかなり神経を使っていらっしゃるんですよ。
───美味しい絵本というだけではない細やかさが、絵本の中に隠されているのですね。見返しも『いろいろサンドイッチ』からより作品の内容に近いものに変わっていますね。
宮本:見返しは、『いろいろサンドイッチ』以降、毎回デザイナーさんが考えてくれています。『いろいろ サンドイッチ』のときは、絵本の中のサンドイッチやさんがサンドイッチを優しく包んでくれる、包みをイメージしてくれました。
- いろいろサンドイッチ
- 作:山岡 ひかる
- 出版社:くもん出版
リズムにのってはさんではさんで、いろんなサンドイッチのできあがり! いらっしゃいませ! しょうしょう おまちくださいね。 ぼくはミックスサンド、ねこさんはシーフードサンド、うさぎさんには、フルーツサンド。 お肉がだいすきなライオンさんや、大きな大きな口のワニさんは、どんなサンドイッチかな…? 楽しいことばのリズムにのって、つぎつぎはさまれていく具に、子どもたちもワクワク! すべて貼り絵でえがかれた、とびきりおいしそうな色とりどりのサンドイッチに、思わずにっこり。 指さしながら食べものの名前をいったり、「どれが食べたい?」とおはなししたり。 親子の会話が弾む楽しい食育絵本としてもおすすめです。
それぞれの見返しを並べてみました。
───『いろいろ いちご』のときは花柄、『いろいろ バナナ』では輪切りのバナナと葉っぱ。見返しを見るのも楽しいひとときだと思いました。
島アさんはシリーズの中でどの作品がオススメですか?
島ア:私は『いろいろ おすし』からこのシリーズに関わらせていただいたので、この作品に対する思いが強いですね。やはりくもん出版の中でも人気のシリーズですので、どうやって作品作りをしていくんだろうというワクワク感もありました。
実際に山岡さんとラフのやり取りをさせていただく中で、山岡さんの発想のすばらしさや、子どもたちを楽しませるためのしかけなど、深いところまで考えて制作されていることを知り、今まで以上にこのシリーズが大好きになりました。
───『いろいろ おすし』は子どもたちが大好きな回転ずしが舞台。普通のお寿司が流れてくるかと思ったら、魚がまるごと流れてきたり、キュウリが1本巻かれた、かっぱ巻きが流れてきたり、かなりビックリ回転ずしですよね。
島ア:はい。おばけのお寿司やゆきだるまのお寿司など、どんな味なのかとても気になります。それと、今ちょうど、シリーズ最新刊の制作を進めていただいていまして、こちらもかなりオススメなんです。
───いよいよ10作目になるんですね。どんな食べ物が出てくるのでしょうか?
島ア:まだ詳しいことはお伝えできませんが、今回の食べ物は「きのこ」です。
───きのこ! 想像しただけで、かわいい作品なのが分かります。
島ア:シイタケ、マツタケ、エノキ、まいたけ……、「きのこ」って見た目がとても個性的ですよね。山岡さんが、きのこたちをどのように調理するのか、ぜひご期待ください。