●小学校での読み聞かせから絵本作家を目指しました。
───柴田さんは、普段イラストレーターとして活動されていますが、いつごろから絵本を描きたいと思うようになったのですか?
絵本を描きたいと思ったのは、子どもが小学校に上がるくらいだったと思うので、10年ほど前ですね。ただ、そのころは、絵本を描くのはとても難しいという思いがあって、その高い壁を超える一歩を踏み出すことが、なかなかできませんでした。
───特にどんな所が難しいと感じたのですか?
やはり、子どもが読んで評価するというところですかね。子どもたちに認めてもらえる自信が当時はまだなかったんです。それに、おはなしも考えなければいけないということが、イラストのお仕事と違い、とても難しく感じました。

───なるほど……。
でも、このまま「絵本を描きたい」という思いだけを抱えて過ごすのも嫌だったので、昨年「今年は絵本を描く年にしよう!」と決意。ダメ元で描いたラフのひとつが、『おいしそうなしろくま』でした。
───絵本を描く年にすると決めた、きっかけは何かあったのですか?
子どもが小学校に上がってから、ずっと読み聞かせの活動をしていたのですが、そこで絵本のことや子どもたちの反応をいろいろ知ることができたのが、大きかったと思います。最初に描いた『めがねこ』(手紙社)は、めがねをかけている息子のために作った絵本。「めがねって格好いいんだよ」ということを伝えたかったのですが、文章を作るのが難しくて、とても苦労しました。
───息子さんは喜んだのではないですか。
そうですね。下の子は今も絵本を読んでくれるのですが、上の子は大きくなってしまって、絵本は卒業。『おいしそうなしろくま』もあまり読んでくれないんですよ。
───それはちょっぴり寂しいですね。小学校の読み聞かせ以外に、家庭でお子さんへの読み聞かせもしていましたか?
はい。上の子は小さいころから絵本を読んでいたので、本好きな子になりました。下の子は、それほど本を読まないのですが、小学校低学年まで、子どもたちに毎晩、読み聞かせをしていました。
───お子さんが好きな作品はなんですか?
『がたんごとんがたんごとん』(福音館書店)と『もこもこもこ』(文研出版)は、子どものはまった絵本ツートップですね。
───読み聞かせをしていて、柴田さんが好きな絵本はなんですか?
ちょっと新しいものなのですが、『オニのサラリーマン』(福音館書店)が好きですね。大島妙子さんの絵が、大好きなんですが、青い髪の赤鬼、オニガワラ・ケンさんのインパクトが強烈で……。『めがねこ』を描くとき、この迫力を参考にしたいと、何度も見ていました。
───柴田さんが子どものときは、どんな絵本を読んでいたか覚えていますか。
両親が共働きだったので、あまり、絵本を読んでもらっていなかったと思うんです。『はじめてのおつかい』(福音館書店)、『ぐりとぐら』(福音館書店)、『ねずみくんのチョッキ』(ポプラ社)が好きだったのは覚えています。
───絵本をお子さんと読む中で、好きになった絵本作家さんはいますか?
荒井良二さんが好きですね。あと、もし会えるのなら、長新太さんに会ってみたかったです。
───『あま〜いしろくま』が出版されたばかりですが、3冊目の構想などはもうあるのでしょうか?
まだ分からないですが、なんとなく、3冊目ができたら嬉しいな……という、イメージだけは考えていようかと思います。もし出版するなら、今度はどんなしろくまが良いか、皆さんからアイディアをいただきたいくらいです。

とってもかわいい、販促用グッズの数々。
───募集したら、たくさんアイディアが集まってきそうですね。
2冊作ってみて、改めて絵本を描くことの楽しさと、おはなしを作ることの難しさを実感することができました。今度はもっともっと文章を勉強して、絵本を作りたいですね。
───次回作がますます楽しみになりました。最後に絵本ナビユーザーへのメッセージをお願いします。
食べ物が大好きな絵本作家が、食べ物としろくまを組み合わせた絵本を作りました。食べることが大好きなお子さんだけでなく、好き嫌いがある子や、食が細くて、たくさん食べられない子にも読んでいただきたいです。絵本を通じて、食べる時間の大切さ、食べ物に対する意識が高まっていったら嬉しいと思います。
───ありがとうございました。

●原画展情報
●「あま〜いしろくま」原画展
場所:高知市金高堂書店
日程:8/7(月)〜9/14(木)
※9/3(日)14時からサイン会開催
詳しくは金高堂書店 本店088-822-0161まで
●柴田ケイコ個展
「おなま絵展」+「あま〜いしろくま」原画展
場所:galleyE
高知県高知市桜井町1丁目4−5 2階13号
日程:9/23(土)〜10/9(月)
詳しくは galleyEホームページまで
●「あま〜いしろくま」原画展
場所:旭屋書店天王寺MiO店
日程:9/1(金)〜9/30(土)
詳しくは旭屋書店天王寺MiO店 06-6773-0107 まで
取材・文/木村春子
撮影/所靖子








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