●まずは、まるごと親子で聞いてみて。楽しいのがいちばん!
───パトリシアさんは、中村麻里さんとともに、絵本『A Trip to Grandma’s House』、『Milkshake Shake』、『Can We Be Friends?』のテキストを書かれています。おはなしのテーマはどのように決められたのでしょうか。
パトリシア:『Milkshake Shake』は、体を動かしながら楽しめる絵本として作りました。
イベントでこの絵本を読むときは、小さなシェイクをたくさん作って持っていきます。子どもたちと一緒に、“Shake it up, up, shake it down, down.”とふりつけしながら読むと、子どもたちがみんな一緒に踊ってくれて、とってもかわいいです。
牛の親子がミルクシェイクを作るお話。ミルクにイチゴやチョコを混ぜながら、カップを上下左右に振って楽しくシェイクします。 英語を初めて学ぶお子様に向け、読み聞かせだけでなく、自力で読めるようになることを目標にした教材。 わかりやすい展開で繰り返しがあり、リズムに乗りやすく、身体を動かしながら英語を身につけられます。 食べ物の名前や、up、down、right、leftが学べます。 CD収録8分 (PAPER&CD/B5サイズ/24ページ)

───“Milkshake! Milkshake! Milkshake shake! ” というフレーズが口に出したくなるリズムですね。ノリノリの子どもたちが想像できます。
竹村:牧場に行った子が、突然このフレーズを口づさみながら踊りだしたので、周りがびっくりしたそうです(笑)。何度も繰り返していると、その場面に出会うと思わず言いたくなるんですね。

───『A Trip to Grandma’s House』は、おばあちゃんの家に行くクマの家族をいろんな形たちが助けてくれる、というおはなしです。おはなしはどんな風に考えたのですか?
パトリシア:『A Trip to Grandma’s House』は形をテーマにしています。どんなおはなしにするか、中村麻里先生と何度もメールをやりとりしながら、最終的に2つの候補に絞りました。パズルをメインにしたものと、おばあちゃんの家に行くというおはなしをメインにしたものです。相談の結果、今のおはなしに決まりました。おばあちゃんの家に行くというのも、子どもたちには共感してもらいやすいと思いますし、「形が、協力して何かを作る」という展開は、子どもたちの想像力が働いて面白いですよね。私はそのおはなしが1番好きだったので、うれしかったです。英語を覚えてもらうことは必要ですが、やっぱりおはなしを子どもたちに楽しんでほしいですから。
- A Trip to Grandma’s House (CD付き絵本)
- 文:Patricia Daly Oe Mari Nakamura
イラスト:Chiiko Watanabe - 出版社:mpi松香フォニックス
自然の名前や形の名前を覚えられます。 クマの家族がおばあちゃんのお家に遊びに行きます。道中、自然の中には危険がいっぱい。そこにいろんな「形」たちがやってきて、クマ家族の危機を助けます。 同じフレーズをリズムよく繰り返したり、韻を踏んだりして、英語の音を楽しみます。自然の名前や形の名前を覚えられます。 (PAPERCD付/B5判/24頁/CD収録13分/幼児・小学校低学年 )

“Circles, triangles, rectangles, and squares. What can we do for the bears?”
───形が合体して次に何が表れるのか、ワクワクしました。子どもたちもきっと自分たちで作ってみたくなりますね。
パトリシア:教室の子どもたちも、アクティビティブックで、いっぱい作品を作ってくれているみたいです。

子どもたちの作った、家や動物、恐竜も!
───『Can We Be Friends?』は、偶然出会ったネコとカメが、「友達になれるかな?」と一緒にできることを探す、やりとりがかわいらしい一冊ですね。
TPR指導法を取り入れた絵本教材 偶然出会ったネコとカメ。お互い友達になれるかと少し心配顔。いろんな遊びを試してみても、なかなか一緒に出来ることが見つかりません。しかし、体を動かしているうちにだんだん楽しくなってきて、最後には友だちになります。 TPR指導法を取り入れた絵本教材です。 Total Physical Response Approach:全身反応教授法 (PAPERCD付/B5判/24頁/CD収録11分/幼児・小学校低学年 )

パトリシア:『Can We Be Friends?』は、“Can you …?”〜できる?という会話で体の動作を覚える絵本です。 泳げる? 走れる? つま先にさわれる? いろんな動作が出てきます。
竹村:体の動きをテーマにした絵本として『Can We Be Friends?』は、よく小学校でも外国語活動用の教材としても使われているんですよ。
───先ほど、学習指導要領の変更のお話が出ましたが、2020年に、英語は、小学校3年生から必修化、5年生から教科化となりますね。
竹村:はい。5・6年生は、2020年から英語で検定教科書が使われるようになります。現在は、移行期教材が使われているのですが、5年生から使うには難しいという現場の方の声を聞きます。検定教科書も同じ標準のものになると思います。それまでに、ご自宅でも英語の音声に触れたり、インプットする時間を持ってきた子どもたちは、問題なく取り組めると思うのですが、そこで差が出てしまうのはもったいないですね。
今、公立の中学校でも、フォニックス教材が副教材として使われています。小学校でも音と文字の関係(フォニックス学習法)が重視されると思います。
───「フォニックス」とは、どのようなものなのでしょうか?
竹村:フォニックスは、英語で、音と文字を結び付けるためのルールのことです。bedという単語も、b「ブッ」という音とe「エッ」、d「ド」という音が組み合わされて、「ベッド」と発音されます。英語圏の子どもも、フォニックスというやり方を学んで、自分で読んで書けるようになっていくんですね。
───音声と文字の関係に気づくということなんですね。

竹村:日本の英語教育は、昔は最初に「“This is a pen.”と書きましょう。」でしたが、それだと身につかなかった。文科省も、コミュニケーションをとれる英語を身につけさせたいと、教育方針が変わったんです。
でも、はじめからフォニックスをやればいいということではなくて、文字獲得期に入る前に、年齢に合った音声獲得期が必要なんです。たくさんの音を聞いて、目と耳から入っていく時期。ネイティブの子でも、小さいうちは、たくさんインプットしても、はじめから自分で書けたりするわけではないですから。
私どもは、フォニックスの前に、良質な音源に触れるのがとても重要だと思っています。mpiでは、小学校で使う短時間学習用のDVD教材を、大阪府と共同制作しました。現在800校程の学校で使われています。先生方の研修などもお手伝いをさせていただいているのですが、インプットがいかに大事かということをお伝えしています。
パトリシア:どの言語でもそうですね。赤ちゃんのうちから、たくさん歌を聞いたり遊んだりして、たくさん音を聞いて、その後読んだり書いたりできるようになりますね。
───まだ意味がわからなくても、まずは音やことばに触れるのが大事なんですね。
竹村:お父さんお母さんの中には、小さな子に最初は文章は早いんじゃないか、単語からやったほうがいいのではと思う方もいらっしゃると思うんですけど、子どもって、聞いていると、わからなくてもまるごと覚えちゃうんですよね。大人って全部わからないと不安になるものですが、子どもはわからないものも声に出すことができるんです。
───『Milkshake Shake』も、繰り返しが楽しいシンプルな絵本ですが、母さん牛が、シェイクを飲んだ子どもたちに言う”Take a big sip and rub your tummy.“という言い回しなどは、聞き慣れないと、ちょっと子どもには難しい?と感じるお母さんもいそうです。

パトリシア:そうですね。でも実際は、とてもよく使われている言葉です。
竹村:生きた英語なので、すごく役立つフレーズなのですが、教科書には出てこなかった英語ですね。難しいと思われることもあるのですが、まずは、まるごと親子で楽しんで聞いてみてほしいと思います。
パトリシア:私も英語が全くわからない子どもたちに読み聞かせをするときも、絵を見ながら読んで、一切翻訳しません。一緒に体を動かして、フレーズを口に出してダンスをしたりするうちに、子どもたちはちゃんと意味が分かります。わからないところがあっても楽しいのがいちばん!
───苦手と思ってしまう前に、英語が楽しいと思えるといいですよね。親子でスタートするには、どこからやってみたらいいでしょうか。
竹村:英語を読むのに苦手意識があるお父さんお母さんもいらっしゃると思います。まずはDVDから入っていただければ、繰り返し親子で観ているうちに、お子さんはすっかり覚えてしまいますから、きっと「うちの子、できる!」と思いますよ(笑)。
また、アクティビティブックがあれば、おうちでもお父さんお母さんで無理なく子どもと英語が楽しめると思いますので、絵本ってこんなバリエーションや使い方があるんだなと思っていただけると思います。

パトリシア:私も中村麻里先生も英語が大好きで、子どもたちに教えることがライフワークです。絵本は、テキストだけじゃなく、一緒に絵を見て、描かれているものを話したり、いろんな会話が生まれます。英語をおぼえるのにとてもいい教科書です。アクティビティブックの制作は大変でしたが、この企画はとてもワクワクして楽しいものでした。たくさんの子どもたちに、楽しんでほしいです。












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