●ちょっと勉強できるページもいれタワー
───たくさんのタワーが登場したところも、びっくりしたんですが、このタワーのセレクトには意味はあるんでしょうか?
以前、大阪に住んでたことがあるので、通天閣と京都タワー、神戸のポートタワーは思い入れがあって登場してもらいました。あと、シドニータワーにも行ったことがあるので出てもらって、南アフリカはもっとも遠い場所。エッフェル塔は「憧れ」。さっぽろテレビ塔は距離感を出したかったのと、唯一デジタル時計のついているタワーだから出てもらいました。僕は愛知県育ちなので、名古屋テレビ塔の方になじみがあるけれど、さっぽろテレビ塔にしたのはそういう理由があります。そうそう、表紙に出ている札幌テレビ塔が「2:00」を指しているのは実は意味があるんですよ。…わかりますか?
───…なんでしょう? 2時…にじ…?
『こんなことがあっタワー』ですからね、あまり深く考えないで絵を見て分かってもらえたら嬉しいなって思います。今回、いろんな場所に実際にあるタワーをモデルに描いたので、それぞれ地元の言葉で読んでもらえると嬉しいです。
───京都タワーは京ことば、エッフェル塔はフランス訛りで?(笑)
───この見返しを見ると、東京スカイツリーってこんなに大きいんだって驚きます。
そうなんですよ、僕も実際に縮尺を考えて描くまでは、こんなにほかのタワーと違いがあると思わなかったので、ビックリしました。
───私、この間子どもと東京スカイツリーに上ったんですけど、入る前に東京スカイツリーの足元から見上げる景色が圧巻で、子どもと一緒にめちゃくちゃはしゃいじゃいました。
僕はまだ東京スカイツリーには行っていないんですが、この絵本を作ることになって、東京タワーに改めて上りました。暑い時期に行ったんですが、ちょうど東京スカイツリーがオープンしたばかりのときだったので、「きっとみんな東京スカイツリーに行っていて、空いている」と思っていたんですが、意外と混んでいてビックリしました。東京タワー以外にも、通天閣にも行きました。でも、昨年100周年で、上まで行くのに2時間近くかかりましたね。御利益にあやかれる様に、ビリケンさんの足のウラをしっかり撫でてきました(笑)。
───先ほどの表紙の隠れメッセージみたいなポイントが、絵本の中にもあるように思うんですが、ちょっとだけ教えてもらえませんか?
最初のタワーオープンのときと、50年たった場面に登場する人や景色を、50年年を取った姿で描いているんですけど、その中で1人だけ実在の人物がいます。
───それは野球選手ですよね!
すごい!よくわかりましたね。背番号23番の吉田義男選手。ちょうど1960年代に活躍された方なんですが、吉田選手は引退後、野球フランス代表監督を務められて、「ムッシュ」というあだ名で親しまれていました。その頃、青い帽子をかぶっているんです。
───丸山さんがいらっしゃる前にひそかに調べていました(笑)。
ありがとうございます。あと、ファンタが日本で販売開始されたのも60年代で、50年前と今でボトルのデザインを変えて描いているので、見つけてみてください。アサヒビールの缶ビールも同じ時期に発売されたので、ちらっとですが登場しています。
───この2ページを比べるだけでも月日の経過というか、見る部分が沢山ありますね。こんなにいろんなことが描いてあるなんてと、正直、ビックリしました。
喜んでもらえてよかっタワー(笑)。僕の絵本って、あまり細かく描かれているように思われないのか、細かい部分を気づく人は少ないと思うんですけど、子どもは何回も読んでくれるので、気付いてくれるんですよね。そこが絵本のすごいところだなって思います。
───ほかにもそういう隠れネタがあったら教えてください!みなさんに見つけてもらいましょう。