●実は『にんじゃサンタ』はパソコンで読む絵本だっタワー
───丸山さんは絵本作家としてデビューされる前から、イラストレーターとして活躍されていますよね。一度見たら忘れられないタッチが、個人的にとても好きなのですが、絵本を描いてみようと思ったきっかけはなんですか?
イラストレーターとして仕事を始めたころから、絵本向きな絵だといわれていて、絵本に興味を持っていました。実際に絵本を描くことになるきっかけは、7年くらい前にソフトバンクさんからパソコンで見る絵本の企画が上がって、その中で作品を描いてみないかと声をかけていただいたことでした。
───そのときはどういう内容の作品を作ったんですか?
担当の方からはクリスマス企画用の絵本を依頼されました。クリスマスと言えば「サンタクロース」。それと当時、子どもの通っていた保育園で大人気だった「忍者」。これを合わせてできたのが『にんじゃサンタ』(PHP研究所)です。
───『にんじゃサンタ』は元々、パソコンで読める絵本だったんですね。
今はもう、その企画自体がなくなっているんですが、そこから実際の絵本になるまで5年くらいかかりましたね。
───絵本の仕事とイラストレーションの仕事をされているとき、ご自身の中で違い、それぞれの面白さはどんなところにありますか?
そうですね…。絵本はページがあるので、全体の流れを考えてページごとの見せ方や絵の展開を考える作業自体がすごく楽しいです。1枚で全部を語るイラストレーションとの違いもその部分ですね。
───先ほど、お子さんの話が出ましたが、子育ての中で絵本のきっかけを見つけることはよくあるんですか?
───「忍者」「富士山」「お子様ランチ」そして「タワー」…。丸山さんの作品を並べてみると一貫して日本特有のものにスポットを当てているように思うのですが…。
───もしかして次の作品も「日本だよ」シリーズですか?
はい(笑)。次は「お城」が主人公の絵本です。お城って、白いお城と黒いお城がありますよね。白い方を「おしろ」、黒い方を「おくろ」と名前を付けて、どっちが強いのか対決します。
───「おしろ」と「おくろ」。言葉を聞いただけで、もうニヤニヤしてしまいます。そういえば、『にんじゃサンタ』も最初お城から出発していますが、そこに戻ってきた感じですね。
そうですね。お城好きなもので…。そろそろ次の新しい「日本だよ」シリーズネタを考えないといけないんです。意外で、面白くて、好きなものを常に考えています。
───最後になりましたが『こんなことがあっタワー』を読者の方へどんなふうに楽しんでほしいですか?
───「50年たってもまだ働いている人がいるよ!」…とか?
───ありがとうございました。次の「日本だよ」シリーズも楽しみにしています。
記念にぱちり!
こんなに可愛いサインも描いて頂いちゃいました。
───子どもの頃、読んでもらって思い出に残っている絵本は?
『おしいれのぼうけん』(作: ふるた たるひ たばた せいいち出版社:童心社)。正直、それしか覚えていないくらい、怖くて強烈でした。
───大人になってから出会って好きになった絵本は?
長新太さんの絵本を見たときの衝撃はいまだに忘れられません。いっぺんに好きになってしまいました。色もすごいし、お話もすごい!
───普段、絵本の絵を描くときに使っている画材は?
貴重な原画!とても鮮やかな色なんです。
黒い線はオイルパステルを使っています。『こんなことがあっタワー』では色をカラーインクで塗りましたが、画材はいろいろ変えて描いていることが多いです。次回作の『おしろとおくろ』では、茶色い紙に絵を描いています。
───好きなお城は?
犬山城(愛知県)ダワー(名古屋弁)。一番身近でお気に入り(笑)。
(編集協力:木村 春子)