「こんなことがあっタワー」
声に出せばちょっと脱力しちゃう駄洒落とともに、堂々とそびえ立っているのは、日本人にはすっかり馴染みの赤いタワー。2012年はスマートなあのタワーに話題を持っていかれがちだったけど、まだまだ人気だったら負けませんとばかりに主役を張っています。
最初に言っておきますが、この絵本は宿題の役には立ちませんよ。
2013年新春、初笑いにぴったりな内容なんです。
「あかいタワーは とってもおおきかっタワー」
「50さいになったときには みんなでおいわいしタワー」
でもある日、赤いタワーは言うのです。
「もう ずっといっしょで あきタワー」
え?飽きちゃったって…そんなことってあるの?
読んでいる方がとまどっていると、タワーはいきなりジャンプ!!
おまけに三つに「別れタワー」!
一体どうなる、赤いタワー!?
思いもよらない展開が続く内容はもちろん気になるけれど、みどころは他にもたくさん。
全国各所からタワーが次々に集まってくる場面は必見。そしてあの新しいタワーも後半に登場してきますよ。やっぱり圧倒的に大きいのだという事に改めて感心しちゃったりして。
タワーの高さを生かすべく、縦開き絵本になっているのも新鮮です。
イラストレーターとしても活躍されている作者の丸山誠司さん。『にんじゃサンタ』や『ふじさんです』などの既刊作品からもわかるように、ちょっと発想力が普通の人とちがうのかも!?絵も内容も自由奔放で大らか。
赤いタワーの中でケンカが始まるのも、“タワーのタワー”も驚くけど、やっぱり最後に待ち受ける壮大な“落ち”には本当に「びっくりさせられタワー」…。思わず口からもれてしまうのです。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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