●「翻訳の仕事をずっとやってみたかった」
大盛り上がりのライブに大興奮の絵本ナビ事務局長・カナガキが、読み聞かせライブ&サイン会直後の長谷川義史さんに、2冊目となる翻訳絵本『ちがうねん』とシリーズ1冊目『どこいったん』のお話を伺いました。
───長谷川さんの読み聞かせライブ、初めて拝見したのですが、即興絵本に始まり、読み聞かせ、トーク、生演奏とファンサービス満載でとっても楽しませていただきました。
本屋さんでやることはめったにないので、どんな感じかなーと思ったけれど、今回は小さい子も多かったから、笑いも沢山起きて、盛り上がりましたね。
───『じゃがいもポテトくん』を僕と娘が大好きで、絵本の最後にある楽譜の歌をずっと聞きたいと言っていたので、今日聞くことができて、すごく嬉しいのです。でも、どうして読み聞かせだけでなく、歌も歌われるんですか?
講演会とかでもよく聞かれるんですが、そのときは「僕は絵本も好きなんですけど、歌も好きなんです」って答えてます。特にウクレレはかわいいし、弦も4本で弾きやすいので、ライブのときはウクレレを持っていくことが多いです。好きがこうじて『いいから いいから』(作・絵:長谷川 義史、 出版社:絵本館)のおじいちゃんウクレレも作ってもらいました。
───すごく本格的ですね。今回、出版された『ちがうねん』と1作目の『どこいったん』、2作一緒におはなし会で読み聞かせをするのは初めてだったそうですが、子どもたちの反応はいかがでしたか?
今日はお客さんに小さい子が多かったから、こわさがまだ分からない感じで、大阪弁のフレーズがただ面白いと笑ってくれるのがすごい良かったですね。あと、今日子どもたちの前で読んで気づいたのは、『ちがうねん』で小さい魚が「きっと まだ ねてるわ」と言っているときに、絵では大きい魚が”起きている”、その場面で子どもたちが笑ったの。子どもは絵を見ているから、その絵と文章の微妙な違いをきちんと分かっているんだと思って、嬉しかったですね。
───『どこいったん』は長谷川さん初の翻訳絵本として話題になりましたよね。どういった経緯で翻訳のお話が来たんですか?
出版社から翻訳をやってみないかと打診が来たんです。翻訳の仕事は以前から興味があったので「ついに来たか」という気持ちで引き受けました。
───長谷川さんご自身が翻訳をやってみたいと思っていたんですね。
僕は絵も文章も描くけれど、「文章だけっていいな〜」と思ってたんです。絵、描かんでええし(笑)。
───今回はジョン・クラッセンさんの作品でしたが、ジョン・クラッセンさんの絵を見たときはどう思いましたか?
独特で、動物の特徴をすごく良く捉えているなと思いました。2作ともちょっとドキッとする内容なんだけど、かなりユーモアもあって、途中に出てくるとぼけたセリフとかは面白いんです。そのユーモアをグッと押さえたシックな絵が魅力ですね。
───大阪弁の言い回しが、とぼけた味をより引き出して、同時にギャップのこわさも引き立つんですよね。大阪弁の文章が長谷川さんならではだと感じました。
僕は大阪弁じゃなくても良かったんだけど、出版社が僕に依頼をしたということは、きっと大阪弁で書いてほしいんだなって思って(笑)。なぜ大阪弁の方が良いかって言うと、英語の原文が、ちょっとそっけないと思えるくらいシンプルに書かれているんです。それをそのまま訳してしまうと本当に怖い文になってしまうので、もうちょっとほわーとする感じにしたいから大阪弁で訳してね、と出版社が思ったんだろうなと。
───翻訳をする上での発見や大変だったことはありますか?
作るときに気にしたのは、直訳にしないこと。原文からより離れた文章にしたいけれど、あまり意訳しすぎると本の面白さが分かりにくくなるので、意味が伝わるギリギリの距離感をどう保つのか…、そこが一番大変で、面白い作業でした。