●昆虫は好きだけど、昆虫を育てることに向いていない子どもでした
───ご存知の方もいるかと思いますが、タダさんのお父様は『おんなじ おんなじ』や『りんごがドスーン』などで人気の絵本作家、多田ヒロシさんですよね。小さい頃から絵本が身近にある環境だったかと思うんですが…。

───子どもの頃はどんなお子さんでしたか?
───「見守る」ということの大切さ、分かっていてもなかなか実行できないことですよね…。先ほどからのタダさんの昆虫に対する思いを伺っていると、本当にたくさんの昆虫を飼育していたんだなと感動しました。
そうでもないんですよ。実際に育てるのは下手な方だったと思います。飼い方なんてロクに調べもせずに育てようとするので、うまく育てられず、悲しい別れを何度も経験しました。僕は昆虫を育てるのも好きだったんですが、昆虫の絵を描いたり、工作をすることも大好きな子どもでした。今日、小学校のときの工作を持ってきたんですよ。
───すごい細かいところまで忠実に再現されていて、紙で作ったとは思えないくらいのリアリティですね!お腹や足の節なんて本物みたいです!

───昆虫以外に飼ったことのある生き物はいるのですか?
実は、小学校5年くらいで虫ブームは一度去っていて、その後、熱帯魚に移行しました。きっかけは当時、ビンの中で飼えると話題になったベタ(闘魚)。それからエンゼルフィッシュを飼うようになって、次第に肉食の熱帯魚に興味が移っていきました。最終的に30匹くらい熱帯魚を飼っていた時期もあるんですよ。でも、あるとき、親父がサーモスタットの電気をつけたままにしてしまって、お湯になって熱帯魚は全滅。それで熱帯魚熱も覚めました。大学生の頃は「時計仕掛けのオレンジ」という映画を見て、ヘビに一目惚れ。子ヘビのときから飼って、かなりな大きさまで成長したんですが、家族旅行の間、火事になったら大変だからとヒーターを消していったら、寒さで死んでしまいました…。
───昆虫、熱帯魚、そしてヘビ…。どのときもお母様は見守っていたのですか?
さすがにヘビのときは母も嫌がっていました(笑)。僕自身は生き物に対する不思議、好奇心が尽きなくて、一度興味がわくとどんどんのめり込んでいくタイプでしたね。それは幼少期のハエにはじまり、今に至るまで、変わっていないところだと思います。
───今後描いていきたい作品、ムーくんの続編の予定などはありますか?
出版社からは続編のお話もいただいているのですが、こればかりは描きたい昆虫が出てこないと描けないんです…。でも、まだまだ昆虫のエピソードはたくさんストックがあるので、その中から必死に絵本を作っていくと思います。
───子ども達に『オオムラサキのムーくん』をどのように楽しんでもらいたいですか?
僕は絵本に教訓や勉強になるようなことを入れるのがあまり好きではないので、自由に楽しく読んでもらえたら嬉しいです。お母さんたちには昆虫だからと怖がらないで、ムーくんを可愛いと思ってもらえると嬉しいですね。

───ありがとうございました。新たな昆虫の魅力をタダさんの作品から知ることができるのを楽しみにしています。
【編集後記】
