「ムーミン」一家が大活躍する、トーべ・ヤンソンさんのおはなしの中でもひときわ人気の高い「ちびのミイ」。いたずらっこで自分勝手。へそ曲がりなんだけど寂しがりやでなんとも憎めない魅力的な小さな女の子。彼女がどうやってムーミン屋敷に住むことになったのか、その秘密が絵本になりました!
静寂につつまれたムーミン谷のある夏の晩。ムーミン屋敷に突然の訪問者がやってきました。ミムラふじんと17人のミムラのむすめたちです。突然の訪問にも関わらず、ムーミントロールたちはあたたかく来客を迎え入れます。ところが、このミムラのむすめたちときたら、小さいけれどこれまたみんな驚くほどイタズラ好き。大らかなミムラふじんは、あわてふためくムーミンパパやムーミンママにぴしゃりと一言。
「おかいまなく。このこたちはじぶんのことはじぶんでできますから。」
小さなむすめたちは、それをいいことに、客間、キッチン、ムーミン屋敷のありとあらゆる部屋に入り込んで、それはもう散らかし放題、壊し放題、そこら中にあるものないものめちゃめちゃにしてしまいます。
「あたしのなまえは ちびのミイ!」
元気で乱暴者で、ミムラのむすめの中でも一番目に付く赤い服を着た、一番小さな女の子。それがミイでした。ミムラふじんとむすめたちはムーミン屋敷がよほど気に入ったのか3日3晩滞在したあとに、ようやく立ち去ってくれました。ところがその晩からとても奇妙で不思議なことが起こります。ムーミントロールは「おばけ」のしわざかも?と怖がるのですが・・・。
トーべ・ヤンソンさんのどこか哲学的で、それでいて独特のユーモアセンスあふれる世界観を見事に絵本にしたのは、作者のリーナ&サミ・カーラ夫妻。フィンランド在住の夫妻は、トーべ・ヤンソンさんの姪が代表をつとめるムーミン・キャラクターズ社の公認画家です。なるほど、トーべ・ヤンソンさんの愛する独特な色彩の世界が美しくスタイリッシュに蘇ります。特に夜の世界がとても幻想的で、蝋燭の灯りをともしながら見る月明かりのムーミントロールの部屋や屋根裏部屋の描写もステキです。オリジナルのヤンソンさんの作品が好きな方も、はじめてムーミンの絵本を読む方も楽しめる作品です。
裏見返しのミイのかわいいイタズラも見逃さないでね!
(富田直美 絵本ナビ編集部)
続きを読む