さみしい山の中、おおかみのじろきちは、道ばたで泣いていた女の子をつれて帰り、食べてしまおうとしました。ところが…。
迷子になった女の子を喰おうと連れ帰ったおおかみのじろきち。
「大きく育ててから喰う方が得だぞ」と言ったのはうしのまさくとっつぁん。
ここで、「なんでウシなの?」と誰もが思う(らしい)。
ちょっと怖そうな話を、人情話に切り替えてくれるのはなんといってもうしのまんさくとっつぁんである。
絵本の中で、うしのまんさくとっつぁんの姿は、どこかユーモラスである。
じろきちは、女の子を早く育てて食べるために一生懸命。
でも、よく考えると、子育ての基本が入ってはいやしないか? じろきちは女の子に愛情を注いでいるようにも見えるじゃないか。
絵本で描かれるおおかみのじろきちには、怖さがひとかけらもないのである。
そしておしまいには、そろそろ食べ頃と言うまんさくとっつぁんに反論する。
「おやそうかい」というとっつあんのホントの気持ちは何だったんだろう?(もともと食べる気などなくて、じろきちに子育てを教えていたのかも)
「すっかりまんさくとっつぁんにだまされた」というじろきち。
「おれもおおかみにしちゃあまぬけだな…」というじろきちには、どこぞの野性的な親よりよほど人情味があるではないか。
何度か読み聞かせをして、大人と子どもの反応はいろいろである。
しかし共通していえるのは、「なんでウシなの?」である。
最後のシーン。
じろきちは女の子を背負って里へ下りていく。
その後は、読者の想像にお任せであるようである。
矢玉四郎さん。ファンになりました。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子12歳)
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