「あの美しく瞬いている星たちが、みんなぼくのものになったらいいのに…。」
思わずそうつぶやいのは、地面の下で暮らすモグラ。
トンネルでつなげた家は悪くない。住み心地満点です。
でも、ちょっぴりさみしくなることもあります。
そこで、流れ星を見つけたモグラはいそいで目をつぶり、お願いごとをしてみたのです。
するとどうでしょう。
目の前にたくさんのはしごが現れて…空にむかってのびています!
モグラは夢中ではしごをかけのぼり、星をとっては自分の家にはこびます。
星でいっぱいになった部屋の綺麗な事と言ったら。
でも、しばらくするとモグラは気がつきます。
空がまっくらになっているという事に。
……少しの悲しい気持ちと後悔を背負って歩くモグラが、その視線の先に見つけたものは?
『手と手をつないで』『かべのむこうになにがある?』も記憶に新しいドイツの絵本作家ブリッタ・テッケントラップが描く「もし、こうなったら」の世界。それはとてもきらびやかで恍惚とした光景で。だけどそこでは終わりません。その先にある、もっと大事なことに気がつかせてくれるのです。
誰かと好きなものが一緒、美しいと感じる心が一緒。
そう思うだけで、こんなにも嬉しい気持ちになれるなんて!
この絵本を誰と読もうか、想像するだけで楽しくなってくる一冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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