「さんしょっ子」を読んでから、急にまた安房直子の作品が読みたくなりました。そんな時、図書館の新刊本として入っていたのが、この本です。
安房直子のお話は、作者名を隠して読んでも、安房直子の作品とわかる気がします。淡い感情や、日常の中に潜む怖さのようなものを文章化するのがうまい作家だからかもしれません。
秋の終わりに、石けりをしていた女の子。続けているうちに、しろうさぎが石けりをしている輪の中に入っています。しろうさぎは雪を降らせる雪うさぎなのです。雪うさぎの輪の中から出なければ女の子は一緒に連れ去られてしまうのです。
ただ、遊んでいただけなのに、死への道へ直結してしまうじわじわとした怖さを感じました。
息子は横で雪うさぎたちの歌う「片足、両足、とんとんとん」という歌をまねていました。雪うさぎが雪の使者、イメージ的には美しいのですが、反面冷たい印象もあります。
前半の怖さとは対照的に後半は少しほっとしました。
こんな美しい作品を書かれる方がもう亡くなっているのだなあと思うと、他の作品も読み直してみたくなります。