タイトルの「でんでんむしのかなしみ」を含む短編集。
小さい子向けの本ではありませんが、息子が手にしたこの本を、カタツムリの本かな?と思い読んだところ、とんでもない。生きる上で必ず生じる「かなしみ」をどう乗り越えるか、という至上命題を、でんでんむしの行動を通して静かに伝えてくれる作品でありました。
読み進めると、かなしいのは作中のでんでんむしだけではなく、自分自身であったことに気づかされます。そしておそらく、最終的にはでんでんむしと同様の対応をして生きる続けることを選ぶのです。
小さい子供に読み聞かせするときには「一年詩集の序」と「でんでんむしのかなしみ」を読んでいます。言葉の意味がわからなくとも、新美氏の紡ぐ言葉の美しさは感じられると思います。