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絵・文: 川浦 良枝  出版社: 白泉社 白泉社の特集ページがあります!
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世界初? 手のひらサイズの忍者が参上!『てのりにんじゃ』 山田マチさん 北村裕花さん インタビュー

忍者好きの皆さん、お待たせしました! 世界初?手のひらサイズの忍者が登場する絵本が出版されました。今回は『てのりにんじゃ』の作者 山田マチさん、北村裕花さんにインタビューを行いました。山田マチさんは100字の原稿用紙に100字ピッタリにお話を書く、「山田百字文学」(「小説NON」祥伝社)の連載をはじめ、児童書「山田県立山田小学校」シリーズ(あかね書房)などを発表し、注目を集める文章家。NHK Eテレ「ヨーコさんの“言葉”」の挿絵や絵本『おにぎりにんじゃ』(講談社)などを発表する画家の北村裕花さんとどんなタッグを組んだのか、ぜひお楽しみください。

てのりにんじゃ
てのりにんじゃの試し読みができます!
作:山田 マチ
絵:北村 裕花
出版社:ひさかたチャイルド

手乗り忍者は、手のひらに乗るほどの小さな忍者。足音も立てず、とても素早く動くので、なかなか姿を見ることができません。家の中で手乗り忍者を見つけた男の子は、忍者の食べ物を用意して遠くから見守りました。 くすっと笑える、友情物語! 絵探しを楽しめるページもあります! 小林賢太郎氏(劇作家・パフォーマー)から推薦コメントが届いています。 「世界初なんじゃないですか? 手のひらサイズのは」

「前提のない」子どもに笑ってもらうには……?

───「てのりにんじゃ」とは文字通り、手のひらに収まるサイズの忍者。山田さんの紡ぐナンセンスな笑いと、忍者と男の子の交流を描いた、あたたかい作品です。そもそも、てのりにんじゃという言葉にパッと目が行ったのですが、「てのりにんじゃ」はどのように誕生したのですか?

山田:5年ほど前、神保町で「山田百字文学」などを展示する個展を開催していたのですが、そこにいらしてくださった方の中に、チャイルド本社の編集の方がいらしたんです。そのときに「月刊絵本におはなしを書きませんか?」と誘っていただきました。

ひさかたチャイルド・菊池:私はその日、偶然神保町の町を歩いていたのですが、なぜか、ヒューッと吸い込まれるように、山田さんの個展会場に入っていきました。会場は、壁一面に山田さんのオリジナル100字原稿用紙が飾ってありました。10文字×10文字の100字が入る原稿用紙に、短い物語が書かれていて、そのどれもが面白く、しかもちゃんとオチがある(笑)。展示を見ているうちに「絵本の文章を書いてもらうのにピッタリな方だ!」と思いました。

───それで、絵本の文章を書いていただくことになったのですね。山田さんはもともと絵本を作ることに興味があったのですか?

山田:私は10年ほど前から、「クスリ、ニヤリと鼻で笑ってほしい」という一心で、大人向けに短い文章を書いていました。そうして、ホームページに発表したり、雑誌に連載したり、ときどき、直接感想が聞きたくなると、個展を開いて、来て下さった方に読んでいただいていました。そうすると「本を作ってみませんか?」と声をかけてくださる編集者の方が何人かいるのですが、児童書や絵本に携わっている方が多くて、自然と「私の文章は、子どもの本に向いているのかな……」と思うようになりました。ただ、今回の絵本は今まで書いてきたものと少し勝手が違いました。

───それはどんなところですか?

山田:例えば、「山田県立山田小学校」シリーズは、小学校4年生の男子を笑わせるイメージで、「このくらいの表現なら伝わるかな?」と考えながら、今まで大人向けに書いてきた作品の方向性のまま書いています。前提となるものがあって、それがちょっとズレることで「笑い」が生まれるので、「前提」があることが重要なんです。でも絵本を読む年齢の子たちには、そもそも前提がない。だから、前提となるものを知らない子どもたちに、どうやって笑ってもらえるかがとても難しかったです。


文章を担当した山田マチさん。

───そこで出てきたのが「てのりにんじゃ」という全く新しいヒーローだったのですね。

山田:実は最初に思い浮かんだのは、忍者ではなく、「手乗りお殿様」や「手乗りカミナリ様」など、子どもの手のひらに乗るくらいの小さいサイズの“何か”でした。何パターンも「手乗り」になって面白いものを探してみて、その中で忍者が一番面白いおはなしができそうだと思ったんです。

───おはなしよりも先に「てのりにんじゃ」というキャラクターが先に生まれたのですか?

山田:そうですね。ただ、最初の頃は今のおはなしと違って、「飼い方」を紹介するような作品でした。よく「ハムスターの飼い方」や「文鳥の飼い方」みたいな感じで、「てのりにんじゃの飼い方」という内容だったんです。でも、編集の方と何度も打ち合わせを重ねるうちに、「てのりにんじゃ」について詳しくなれるHow to本のテイストを残しつつ、物語性を少し加えた作品にしようと内容も大きく変わってきました。

───私たちの身の回りに「てのりにんじゃ」がいて、秘密の忍務を行っているという設定で進むストーリー。「もしも おなかを すかせて ちからつきた てのりにんじゃが、あなたの おうちに まよいこんできたら どうしましょう?」という部分で、グッとおはなしに引き込まれていきました。

山田:忍者たるもの、簡単に知らぬものに心を許すわけではないので、そのあたりの作り込みをしっかりすることで、「てのりにんじゃ」は本当にいるかもしれないぞ……と子どもたちに思ってもらおうとしました。

───「てのりにんじゃ」という、今まで誰も見た事がないもの、知らないものを生きている存在として形作らなければならないというところに、ひとつハードルがあると思います。それを、「取り扱い注意書」のような巻物が出てきて、説明が入ることで、「てのりにんじゃ」は本当にいるのかも……と思うようになっていく。その肉付けと、過程がすごく楽しく感じました。

山田:自分のなかでも「てのりにんじゃは、いる」というふうに決めて、「どういうふうに接すれば仲良くなれるか」を考えていきました。巻物にすることで、極秘の内容をこっそり教えてもらったような得した気分になってくれるかもしれない。おはなしの舞台を家の中にすることで、「うちにも、てのりにんじゃが来てくれるかもしれない」と、おはなしに入り込んでくれるのではないかと、いろいろ考えました。

───普段、「てのりにんじゃ」は素早くて、私たちには見えず、ピンチな状況に陥ってはじめて姿を現すという設定が、とてもリアル。この状態になるまで、「てのりにんじゃ」には何があったんだろう……と想像力が膨らみました。絵を北村裕花さんが担当されていますが、北村さんとは以前から面識があったのですか?

山田:今回の『てのりにんじゃ』の絵を誰にするかを考えているときに、はじめて北村さんの作品を拝見しました。一目見て、「この人に描いてほしい」と思ったのを覚えています。絵の描き方に幅があって、かわいいものを可愛すぎずに描いている感じがとても良いなぁと思いました。私の文章は、ちょっと淡々としすぎているところがあると自分で思っているので、北村さんの躍動感のある絵で「てのりにんじゃ」を描いていただけたら、きっと、面白い作品になると思いました。

───北村さんは『てのりにんじゃ』の原稿をはじめて読んだとき、どう思いましたか?

北村:とても面白い作品だと思いました。山田さんは、ご自身の文章を淡々としすぎていると言っていますが、私は、その少し距離のある文章だったことで、とても絵がかきやすかったです。


絵を担当した北村裕花さん。

山田:手のひらに乗るくらいの小さい忍者というと、ファンタジーのおはなしのように感じてしまいますよね。でも、物語の舞台は、私たちの日常。その日常に「てのりにんじゃ」がいるかもしれないと子どもたちが思うような、リアリティを出したいと思っていました。北村さんの描く男の子や、井戸端会議をしているおばちゃんたち(笑)、家の中の様子がとても現実的で「てのりにんじゃ」にもしっかりと血が通っているようになったのは嬉しかったです。

北村:私は普段、ラフを本当に粗い状態で描くことが多いのですが、今回は「てのりにんじゃ」の小ささをしっかりと表現しなければいけなかったので、身の回りにあるものと「てのりにんじゃ」とのサイズを比較したりと、山田さん、編集者の方と相談しながら進めていきました。

───「てのりにんじゃ」の忍び装束は、とてもオーソドックスなものだと思うのですが、ビジュアルはどのように決まったのですか?

山田:イカ型の頭巾というのは、実は身分の高い忍者が身に着けるものらしいのですが、ここは、かっこよさ優先で(笑)。そして、大人の忍者であることにもこだわりました。

北村:ラフの段階では、男の子と同じくらいの年齢の忍者も描いたのですが、「ちいさいけれど、格好良く」というのが私たちのイメージにあったので、今の切れ長の流し目忍者になりました。

山田:やり取りの中で、「俳優の●●●●みたいに!」というお願いをしたりして……(笑)。最終的に、とてもイケメンの忍者になりました。

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山田マチ(やまだまち)

  • 愛知県生まれ。2007年、ホームページの「山田の書きもの」を開設し、ショートストーリーを発表。オリジナルの百字の原稿用紙ぴったりにお話を書く『山田百字文学』などを制作。著者に『山田商店街』(幻冬舎)、「山田県立山田小学校」シリーズ(あかね書房)などがある。

北村裕花(きたむらゆうか)

  • 1983年栃木県生まれ。東京在住。多摩美術大学卒業。2011年、『おにぎりにんじゃ』(講談社)で第33回講談社絵本新人賞佳作。絵本に『かけっこ かけっこ』(文/中川ひろたか 出版社/講談社)、『くれよんがおれたとき』(文/かさいまり 出版社/くもん出版)、『かあちゃんえほんよんで』(文/かさいまり 出版社/絵本塾出版)、『ねねねのねこ』(文/おおなり修司 出版社/絵本館)など。そのほかの本に、NHKEテレの番組を書籍化した『ヨーコさんの”言葉”』がある。

作品紹介

てのりにんじゃ
てのりにんじゃの試し読みができます!
作:山田 マチ
絵:北村 裕花
出版社:ひさかたチャイルド
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