パパさんぽ
- 作・絵:
- きくち ちき
- 出版社:
- 文溪堂
絵本紹介
2025.06.10
2025年6月15日は「父の日」です。皆さんのお父さんはどんな人ですか? 絵本の中をのぞいてみると実にいろんなパパがいます。
かわいいくまちゃんに振り回されるちょっと頼りないけれど、とってもやさしいクマのパパ。ホッキョクグマやタツノオトシゴ、カエルやミミズクなどいろいろな方法で我が子に生き方を教えてくれる頼もしい『やせいのパパ』。…と思えば、『ふんが』の一言で様々な展開を乗り切るたくましいゴリラのパパや、お風呂を泡だらけにして『あわあわジャングル』ツアーに招待してくれるアイデアマンのパパ。
パパ…だけど実は忍者?な『にんじゃラリーマン』に、パパの苦労と子の成長を一緒に感じることができる『おんぶねこ』。
もしかしたら絵本の中のパパと皆さんの側にいるお父さんは似ているところがあるかもしれませんね。「お父さん、いつもありがとう」の気持ちを込めて、父の日はお父さんに絵本を読んでもらいましょう。
この書籍を作った人
1975年北海道生まれ。絵本作家。2013年『しろねこくろねこ』(Gakken)でブラチスラヴァ世界絵本原画展、金のりんご賞を受賞。2019年『もみじのてがみ』(小峰書店)で同展金牌を受賞。他に『しろとくろ』(講談社)、『でんしゃ くるかな?』(福音館書店)、『やまをとぶ』(岩波書店)、『ゆきのゆきちゃん』(ミシマ社)など。現在は神奈川のいろいろな生きものが暮らす里で、家族と山を眺めながら、創作をしている。
みどころ
そろそろパパが帰ってくるのに、雨がふりそう。
「ぼくが かさをもって パパのおむかえにいくよ」
パパが大好き、電車も大好きなぼくは、駅にパパを迎えにいくのも大好き。かさを持って駅まで行き、入場券を買って、ホームで待ちます。すると、まもなくホームに電車が到着します。
最初にやってきたのは「しましまごう」。しましま模様の人たちが降りてきます。パパのネクタイもしましまだけれど、この電車には乗っていません。次にやってきたのは「ぶちぶちごう」。この電車も違うみたい。「もじゃもじゃごう」に「じゃぶじゃぶごう」、なかなかパパが乗った電車が到着しません。
「まだこないのかなあ。」
するとそこへ……。
見たことがないような驚きの電車が次々に登場し、お客さんもまた個性的なひとばかり。パパはなかなかやってこないけれど、電車好きにはたまらないホーム。ドキドキする気持ちとワクワクする気持ちがいっぺんにやってくるこの時間。「ぼく」にとっても、この絵本を読む子どもたちにとっても、忘れられない体験になりそうですね。自分が乗るなら、どんな電車がいいかな? 第22回ピンポイント絵本コンペ優秀賞受賞作品です。
この書籍を作った人
名古屋生まれ群馬県在住。短大保育学部卒業後、名古屋で保育士として保育園に勤務。結婚後群馬に引っ越し、自宅で13年間こども美術教室を開きつつ保育士の仕事を再開。現在認定こども園で、保育教諭として奮闘中。電子絵本に『おばあちゃんとにんじゃ あやしいかげのまき』(next coach)がある。
この書籍を作った人
1946年、イギリスのシェフィールド生まれ。リーズ美術大学でグラフィックデザインを、医学関係の説明図を専門に描く。グリーティングカードの制作にたずさわったのち、絵本作家としてデビュー。『すきですゴリラ』(あかね書房)と『どうぶつえん』(平凡社)で2度のケイト・グリーナウェイ賞に輝き、2000年には国際アンデルセン賞画家賞を受賞するなど、国際的にも高い評価を受けて活躍している。ほかの主な作品に、『ボールのまじゅつし ウィリー』『シェイプ・ゲーム』『森のなかへ』『かわっちゃうの?』『びくびくビリー』『うちのママって 素敵なの』(評論社)などがある。
この書籍を作った人
1937年東京都生まれ。瀬戸内海で幼少年期を送る。京都大学仏文科卒業。海育ちの海好きで、海を舞台にした作品が多い。『海のしろうま』(理論社)で野間児童文芸賞、『はんぶんちょうだい』(小学館)で小学館文学賞、『まつげの海のひこうせん』(偕成社)で絵本にっぽん賞、『カモメの家』(理論社)で路傍の石文学賞を受賞。絵本の翻訳に「バーバパパ」シリーズ(講談社)、「カロリーヌ」シリーズ(BL出版)などがある。
みどころ
ぼくはお風呂が大きらい。体も頭も洗わずに風呂場から出ようとしているぼくに向かって、お父さんが湯ぶねから声をかける。
「あわあわジャングルツアーに招待してやろう」
気がつけば、そこは泡のジャングル。泡の小鳥たちがピーチクパーチク鳴く泡の森を、お父さんが運転する泡の車で走り出す。すると泡の動物たちが次々とあらわれ、車はさらにスピードをあげていく。とうとう泡が飛ばされ、車が消えてしまった。するとヒョウが襲ってきて……ぼくらはあわや大ピンチ!? でも、お父さんがいるから大丈夫。とっさに泡の中から取り出したものは?
床も壁も天井もそこらじゅうが泡だらけ。家の中でこんな状態になっても怒られないのはお風呂だけ。だったら思いっきり楽しみたい! 片平直樹さん、高畠那生コンビによる痛快お風呂冒険絵本を読んでいると、お風呂がきらいだった気持ちなんて、あっという間にどっかに消えてしまうはず。そして、待ちきれずに聞いてしまうのでしょう。
「おとうさん、つぎのあわあわジャングルツアーは いつ?」
この書籍を作った人
1978年岐阜県生まれ。絵本作家。主な作品に『ぼく・わたし』『チーター大セール』(ともに絵本館)『いぬのムーバウいいねいいね』(講談社)『おまかせツアー』(理論社)『ぞうの金メダル』(作・斉藤洋/偕成社)『飛んでった家』(作・クロードロワ/訳・石津ちひろ/長崎出版)がある。
みどころ
たくさんバナナを食べてお腹を気にするゴリラ父さん。ダイエットのためか、準備体操して母さんと子どもに手をふってランニングに出かけるのですが、思わぬ出来事に死に物狂いで運動するハメに……。恐ろしいヒョウが追いかけてくるし、崖から海に落ちたらサメに囲まれるし……もう「ふんがー!」と逃げるしかない! ゴリラ父さんどうなっちゃう?
「ふんがー」「ふんがふんが」「ふんが?」とたった3文字のこの言葉だけで、ダイナミックに展開していくのがおもしろい本。ゴリラ父さんの手に汗握る奮闘ぶりに、子どもたちは目が離せなくなりそう。
作者は『だるまなんだ』『アルパカパカパカやってきて』(絵本館)などの人気作でおなじみのコンビを組むおおなり修司さんと丸山誠司さんのおふたり。ユーモラスで勢いのよい丸山さんの絵のファンには見逃せない1冊です。ママはもちろんですが、ぜひパパに臨場感たっぷりに読んでほしい! お話会の「つかみ」にもいいかもしれません。
この書籍を作った人
1959年 広島県福山市生まれ。『だるまなんだ』(絵/丸山誠司・絵本館)で絵本作家デビュー。大成修司で俳優、ナレーターとしても活動中。
この書籍を作った人
1968年岐阜県生まれ。愛知県育ち。大阪府立大学経済学部、MASA MODE ACADEMY OF ART卒業。主な受賞歴:日仏会館ポスター原画入賞、HBファイルコンペ藤枝リュウジ大賞、東京イラストレーターズソサエティ公募プロ部門銅賞など。TIS会員。主な絵本作品:『にんじゃサンタ』『おこさまランチランド』(ともにPHP研究所)『ふじさんです』(教育画劇)。
この書籍を作った人
1968年岐阜県生まれ。愛知県育ち。大阪府立大学経済学部、MASA MODE ACADEMY OF ART卒業。主な受賞歴:日仏会館ポスター原画入賞、HBファイルコンペ藤枝リュウジ大賞、東京イラストレーターズソサエティ公募プロ部門銅賞など。TIS会員。主な絵本作品:『にんじゃサンタ』『おこさまランチランド』(ともにPHP研究所)『ふじさんです』(教育画劇)。
みどころ
「おれ、おとうさん」
画面の向こうから、少し憂いのある表情でじっとこちらを見つめてくるのは、どうやらおとうさんねこ。肩から下げているのは、真っ赤なおんぶひも。
「おれのこ、おんぶじゃないと なくねん」
ということで、掃除をしている時も、スーパーのちらしを見る時も、お絵描きをしたり、お買いものに行く時だって、ずっとおんぶ。料理をする時も、食べる時も。こりゃ、大変だ。さすがにお風呂に入るときくらいは……と思ったけど、やっぱり!?
泣きたくなるようなワンオペ子育て苦労あるあるも、ゆるい関西弁でつぶやきながら、なんとかこなしていくおとうさんねこの様子を見ていると、なぜだか笑いがこみあげてきます。必死になっている姿って、可笑しくって愛おしいものなのです。こねこの泣きっぷりもお見事。けれど、永遠に続くと思われていたそんな日々も、気づかないうちに……。
第43回講談社絵本新人賞佳作作品から誕生した殿本祐子さんの記念すべき絵本デビュー作は、インパクト抜群の「おんぶ絵本」!? 濃厚に描き出された、こねことおとうさんのめくるめくおんぶの日々をご堪能ください。
この書籍を作った人
第43回(2022)講談社絵本新人賞佳作『おんぶにゃにゃいとにゃく』を改稿した『おんぶねこ』でデビュー。保護猫といっしょに兵庫県で暮らしている。