
ある日、タンスの奥から見慣れない服を見つけたおかあさん。それは、キャベツ模様の白くて小さな可愛いワンピース。買った覚えもないのに、どうしてあったのでしょう。おかあさんは一歳になったばかりのまりこちゃんに着せてみます。すると……まりこちゃんは、すうっと立ち上がり、おまけにこんなおしゃべりを始めたのです。
「これ すき。ずっと、これ きる」
そして、まりこちゃんはそれ以来、決してワンピースを脱ごうとしませんでした。一ねん経っても、二年経っても、三年経っても……!ワンピースはちっとも古くも小さくもならず、まりこちゃんと一緒に大きくなっていくのです。いったい何が起きているのでしょう。
まりこちゃんは、みんなから「キャベツちゃん」と呼ばれるようになったのですが、おかあさんには理由がわかりません。まりこちゃんがとても不思議な事を言うので、少し悲しくなったりもするのです。でも、ある時おかあさんは見つけます。キャベツのワンピースの秘密がはっきりと見えたのです……。
真っ白な背景に浮かびあがる、綺麗な色のキャベツ模様。くせっ毛の愛らしい女の子が嬉しそうにワンピースを着て立っている表紙を見ながら「なんて素敵なのだ」とうっとりしていると、最初からその展開に驚かされてしまいます。作者は歌人で作家の東直子さん。彼女がデビュー前に書かれたという「幻の物語」が、こんな不思議な絵本となって誕生したのです。
頑なすぎるまりこちゃんの真剣な目にたじろぎながらも、どこかで見覚えがあるような。魔法にかかった女の子の意志の強さと奥の深さは確かに一筋縄ではいかないのかもしれません。わたべめぐみさんの描く絵が、そのすべてを幻想的に、忘れがたい物語として読者の心に残していってくれます。気が付くと、私もいつのまに……。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)

洋服ダンスの奥で見覚えのない服を見つけたお母さん。かわいいキャベツ模様のワンピース。一歳のまりこちゃんに着せてみると、すっくと立ち上がり、「わたし これすき。ずっと これきる」とおしゃべりをはじめた。キャベツのワンピースしか着なくなったまりこちゃんは “キャベツちゃん”と呼ばれるように…。不思議なワンピースに魅入られた女の子の物語。東直子さんが、作家デビュー前に雑誌に投稿した幻の作品を絵本化。

なんでか娘がキャベツ模様の服に3年間取り付かれたように着て過ごすと言う不思議な物語です。
内容は特に怖い、恐ろしいといったものではく、絵も淡い優しく描かれています。
他の絵本とは違ったとても印象的な絵本です。
有名な「腹ぺこ青虫」と同じように、青虫も愛すべき生き物だと教えてくれる絵本です。 (えがだいさん 40代・パパ 女の子6歳)
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