ある日、ゆうくんのおうちに、じぃじとばぁばから大きな箱が届きます。中身はいちごにバナナ、ぶどうにキウイなど、おいしそうなフルーツたち! その中にこのお話の主人公「りんごちゃん」もいます。りんごは自分がフルーツいちの人気者だと思っていました。ですから、一番に手に取ってもらえると信じて疑いません。けれどもりんごは、すぐに食べてもらえないばかりか、なんと冷蔵庫の底の底、野菜室へといれられてしまったのです。
「わたし やさいじゃなくて、フルーツですようー!」泣き出すりんごに、周りのやさいたちが慰めます。どうやら野菜たちは、おいしく食べてもらえるように、野菜室の中でトレーニングしているようなのです。りんごはトマトに赤くなる方法を、にんじんと玉ねぎには甘くなる秘訣を教えてもらいます。
冷蔵庫の中の食べものたちの悲哀をユーモラスに描いた、うえだしげこさんの「れいぞうこのあるある」シリーズ第4弾。今回も、子どもも大人も一緒に楽しむことのできる、とびきりかわいくて楽しい作品に仕上がっています。野菜室の野菜たちが、どんな気持ちで出番を待っているのか?なんて、想像したこともありませんでしたが、こんなに健気にがんばっているのなら、忘れずに食べてあげなくちゃ!ですね。
(出合聡美 絵本ナビライター)
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