しっしっぽっぽ、しっぽっぽ。しっぽのある汽車が走ってきます。
「なんだかしょうしょう まのぬけたおと。どこか こしょうじゃ ないですか?」
いえいえ、走ってきたのは、きしゃしっぽ。しっぽのはえた、きしゃぽっぽ。
だから「しっしっぽっぽ しっぽっぽ」でいいんです。
きしゃしっぽは、はらっぱのしっぽ駅、森のしっぽ駅、まちのしっぽ駅へとすすみます。
のってくるお客は、み〜んなしっぽがある動物ばかり。
ねずみやかめ、きつねやへび、犬やヤギ。ね、みんなしっぽがあるでしょう?
でも……、あれれ、まちのしっぽ駅で、のりこもうとした人間の男の子。
赤いリボンをズボンにむすんでいるのが、駅長のねこさんに、わかってしまいます。
リボンをぎゅっとつかまえ、「おきゃくさん。にせもののしっぽはこまります。しっぽがないのもこまります。」
「でも、ぼく、このきしゃにのりたいんだもの。」……さあ、ねこの駅長さん、どうする!?
さいしょは、ねぼけまなこの、ねこ駅長さん。
大あくびのふにゃふにゃ顔から、いきなりぱっちり目をあけて、にんまりと笑う顔にへんしん。
男の子は、きしゃしっぽに、のせてもらえたのかな?
ねこ駅長さんったら、なかなかやるじゃない、と、粋な采配に心がほわーっとあたたかくなりますよ。
「しっしっぽっぽ しっぽっぽ」。
やわらかくてきもちよさそうな、きしゃしっぽの特等席。
しっぽのないお客のための、とっておきの席。
わたしも、のってみたくなっちゃうなあ。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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<ユーモラスでかわいい汽車の絵本>
緑の野原を走ってきたのは、きしゃしっぽ。しっぽの生えた列車です。きしゃしっぽに乗れるのは、しっぽのある動物だけ。はらっぱの駅では、ねずみやかめやうさぎが乗りました。森の駅では、きつねやへびやりすが乗りました。そして町の駅では、あれれ、お尻にリボンをぶらさげた人間の男の子が乗ろうとしています。ねこの駅長さんは「にせものしっぽは困ります」男の子は「でも、ぼく、この汽車に乗りたいんだもの」さて、男の子は汽車に乗れるかな?駅長さんに何かいい考えがあるみたい…。
やさしく語りかけるリズミカルな文章と、カラフルで愛らしいイラストがベストマッチ!子どもたちをユーモラスなお話の世界へ誘います。
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