アメリカ合衆国では、年間行事として毎年2月をアフリカ系アメリカ人の歴史を回想(かいそう)する「黒人歴史月間」としています。 これまでも、公民権をもとめて戦った黒人の歴史図書はありましたが、チャールズ・R.スミス・ジュニアは、「黒人歴史月間」にあわせ、 長年あたためてきたアイデアを絵本にまとめあげ、黒人の偉業を紹介する『28days』を出版しました。
2016年この本が刊行されアメリカで大ヒットした年は、リオデジャネイロ(ブラジル)のオリンピックがあった、 うるう年(4年に1回2月が29日まである年)だったので、タイトルは“28DAYS”ですがストーリーは29日まであります。 あらゆる角度からアメリカ合衆国の歴史を塗り替えた勇者たちを、28日間でフィーチャーしています。
キング牧師やマルコム・X以外にもアメリカ社会に影響を与えた人物を、クリスパス・アタックスを皮切りに1770年から紹介しています。 また、医学、スポーツ、航空、美容業界、テレビ界と、多岐に渡りそれぞれの分野で活躍した人物を、 みずみずしい文章でわかりやすく描写しており、シェーン・W・エヴァンスのイラストが、 ノンフィクッション絵本(本当にあった出来事)に輝きをそえています。
日本は黒人文化になじみがうすく、この種の絵本は、新鮮に読んでいただけると思います。 またそうあってほしいと願っております。特筆すべきは8日目のハリエット・タブマンです。
並外れた彼女の労苦と勇気はアメリカの国民も認めていて、2020年、20ドル札の顔になることが決まっています。 黒人女性が紙幣に刻まれるのはアメリカ史上初めてです。最後の28日目にバラク・オバマ氏が登場します。 読み進めていけば、なぜバラク・オバマ大統領が誕生したかが、おわかりになるでしょう。
アメリカの州によっては、今もまだ黒人の社会的公正を求める運動が続いています。 私たちは人生という、「旅の道の途中」に立っています。
この絵本は人として、 “愛しなさい、すべてを”と最後に語りかけてくれているように思えます。
アメリカの黒人歴史月間というものを初めて知りました。
奴隷であった彼らが自由を勝ち取り、平等を勝ち取っても、なお差別の中にいる中で、黒人の歴史を作ってきた人たちがいます。
正直いうと知らない人の方が多かったのですが、黒人歴史月間の意義も含めて、多くのことを学ぶことのできる絵本だと思います。
コラージュによる絵も、とても印象的でした。 (ヒラP21さん 60代・パパ )
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