ホラーなシーンを、ふと思い出してしまったり。
昔聞いた怖い話が、とつぜん頭に浮かんできたり。
どうにも止めることのできない、恐ろしい想像をしてしまったり。
幼いあの日のそんな場面、あなたを守ってくれる「安全地帯」は、どこだったでしょう?
パパやママの、ひざの上? にぎやかな番組の流れる、テレビの前?
こんな夜中にテレビは見れない。パパやママだって、もう寝てる。
そしたら、やっぱり定番は──
これは、そんな「安全地帯」への信頼をぶちこわす、反則級のこわ〜い絵本……。
町外れの古いお寺で遊んでいると、どこからか聞こえてくる、ぼくを呼ぶ声。
なぜだか、みんなには聞こえない。
帰り道で、とつぜん吹いた、つむじ風。
みんなは信じてくれないけれど、風の中には手が見えた。
そして、怪異は家にまで……。
こ、怖い怖い怖い!
ページをめくる手が止まる一冊です(いい意味で)。
おっかなびっくりページをめくり、その結末をのぞいてみれば……。
あぁ、オバケとしてやっちゃいけない一線を越えてくる……!
不気味だったり、ふしぎだったり、不吉だったり、びっくりしたり……
怖い絵本は数あれど、本作はシンプルに「ひぃー!」と怖がれる、わかりやすい王道ホラー。
怖い絵本好きの期待も裏切らず、怖い絵本ジャンルで最初に手に取る作品としても、抜群におすすめの一冊。
オバケが好き? 怖い話も? それなら迷わず、ページをめくって。
さあ、おいで、おいで……。
(堀井拓馬 小説家)
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