今日は揚げ明神の油まつり、月に一度の揚げ物のお祭りです。おばけのパン屋さんは、出店で売るカレーパン作りに大忙し、その数は100個! パン生地にカレーを包みパン粉をつけて、ぶくぶくじゅうじゅう……こんがりきつね色に揚げれば、できあがり!
「あぶらじごく やだなあ……」
ぐらぐら煮立つ油鍋のそばでつぶやくのは、揚げる前の3つのカレーパン?! 彼らは怖くなってすたこらさっさと逃げ出してしまいました。
一方、お店ではカレーパンが3つ足りないと大騒ぎ!
「きっと油がいやで逃げ出したんだ!探しにいかなくちゃ」
カレーパンの逃亡。まさかの展開に追いつくのが大変ですが、彼らの気持ちを考えてみると確かに……カレーパンに感情移入をするのは、きっと後にも先にもこれっきりではないでしょうか。辿り着いた油まつりの会場でドーナツ、唐揚げ、フライドポテト……おいしそうに頬張るカレーパンたち。食べすぎてもたれちゃったなんて、なんともシュールすぎてキュンとしてしまいました。
前作『おばけのパンやさん」に続く、おばけとパンという風変わりな組み合わせ。妖怪検定中級を持ち、各地で妖怪カルタ大会などを行なう作者のいちよんごさんは元パン職人という異色の経歴の持ち主です。パン作りの工程がとても丁寧に、特にカレーパンのサクサクの風合いは実においしそうに描かれているのもみどころ!
♪ああ うらめしや うらめしや〜 やっぱり こんがりあげてくれ〜
揚げ明神の奥から聞こえてきた、不思議な声の正体は?カレーパンたちのその後は……? 怖そうで怖くない、食欲も湧いちゃう、ひと味変わったおばけの絵本で、暑い夏を楽しく乗り切ってくださいね。
(竹原雅子 絵本ナビライター)
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