ホッキョククジラは哺乳類の中でも一番長生き。20世紀の終わりにアラスカの先住民族が、ホッキョククジラの口に19世紀のモリの破片を見つけたことから、200年もの間生きるものがいると分かったのだとか。
スミソニアン国立自然史博物館の研究者でサイエンティフィックイラストレーターのアレックス・ボースマが、雄大な北極海と、そこで生きるクジラの200年を美しいイラストレーションで描いています。
200年前、まだ小さなホッキョククジラのボウはお母さんと一緒に、広々とした冷たい海にいました。帆を持つ船や手漕ぎボートに出くわすこともありましたが、ずっと静かな海でした。やがてボウはひとりだちし、水中の小さな生き物をたくさん食べて大きくなっていきます。一方でクジラとりの船が増えたり、さらに現代は潜水艦のソナーや石油掘削機、船のスクリュー音で騒がしい海になり……。
スミソニアン国立自然史博物館の海洋哺乳類研究者・ニック・パイエンソンの研究室に所属し、彼に触発されて作品を描いたというボースマ氏。著者はパイエンソン氏とボースマ氏、2人の名前が記されています。
今、北極海の氷は減り、大型船が行き交い、海洋ゴミも増えて、生き物たちにはとても危険そうです。わが家の7歳の息子はじっくりページをめくり、「200年も生きるクジラがいるんだねえ」と驚いていました。巻末にはホッキョククジラが直面する危機や、北極圏の他の生物についてもコンパクトでわかりやすい解説があります。
大人子ども問わず、自然や海洋動物が好きな人におすすめ。環境問題だけでなく、北極の海を旅するような魅力が伝わってくる大型絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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ホッキョククジラが見た海の変化とは?
北極のひろびろとした海にくらすホッキョククジラは、
200年もの長い時間を生きるといいます。
その長い一生で、たくさんのなかまと交信し移動して生活しています。
これは、ホッキョククジラのボウが見た北極海の物語です。
200年の長いときの中で、環境はどのように変化してきたのでしょうか?
ボウと一緒に見てみましょう。
【編集担当からのおすすめ情報】
200年もの時を生きる動物がいることを知っていましたでしょうか?
20世紀の終わりに、アラスカの先住民族が、ホッキョククジラの口から、19世紀のモリの破片を見つけたことから、ホッキョククジラが200年以上生きるということを発見しました。
作者は、もし200年も生きたら、世界は、どんなふうに見えるのだろうと思い、この物語を書いたそうです。
ロマンを感じつつ、科学的な解説付きで、何重にも楽しめる一冊です。
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