工場で10個ずつ箱に入れられた、ちっちゃな黄色いおもちゃのアヒル。船に積まれ、海をぐんぐん進むけれど……嵐で一箱「どっすんこ」と海に落ち「ざっぶんこ」。開いた箱からアヒル10個が「ころころり」。船長さんは叫びます。「あひる10こ うみに おちたぞー!」
おもちゃのアヒルはどうなった? 1番目は西でイルカが飛び越え、2番目は東でアザラシに吠えられ、3番目は北のシロクマのもとへ。4番目は南のフラミンゴとにらめっこ……。こうして10番目までそれぞれ散り散りに流れていきます……。
本書はニュースの実話をもとにエリック・カールが構成し絵本化したもの。鮮やかな色合いの動物たちが見ごたえあり、次は何が出てくるかな? とページをめくるたびにワクワクします。そして詩的ではずむような工藤直子さんの訳がぴったりなのです。「たぷたぷたぷ」「さっぽんさっぽん」「ゆーららゆらら」「ぷかりつんつん」……揺れるようなオノマトペのリズム、まるで歌みたい。
広い海をあまねく感じる豊かなスケール感、ゆーらゆらと楽しげな訳語が読み聞かせにもぴったり。分厚い紙、角が丸いボードブックは幼いお子さんにも安心です。遊び心を美しいイラストレーションと言葉でかたどった、小さな芸術作品のような本。プレゼントにもぜひどうぞ。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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1ばんめの おもちゃのあひる ながれながれて にしへいき
そのあひる とびこえ いるかが ジャンプ
2ばんめの おもちゃのあひる ゆられゆられて ひがしへいき
あざらし それみて ほえてみる
10ばんめの おもちゃのあひる どんどん はなれて あっちのほうへ
でかくて ひろい うみのうえ ぷかぷか どんどん どこまでも
おひさま しずみ あたりは くらやみ
だぁれもいない まわりには ただ うみと そらだけ
ただ うみと そらだけ
工場で作られたおもちゃをつんだ船が、大きな海のまんなかで嵐にあい、箱の1つを海へ落としてしまいます。箱に入っていたのは、10このおもちゃのあひる! 波にゆられて東へ西へちりぢりに流れていき、いるかやあざらし、しろくまやフラミンゴなど、いろんな海の動物たちに出会います。さて、10ばんめのあひるが出会ったのは……?
ニュースになった実話を、洗練された構成でみごとに絵本化したエリック・カールの傑作が、ボードブックになりました。ページをめくるたびに、フラミンゴやクジラなど海の生き物たちがつぎつぎ登場。次はどんな動物が出てくるかな? とワクワクします。スケールの大きな物語と、目に楽しい明るくカラフルな絵、波にゆられるようにリズミカルな訳文が魅力の、読み聞かせに最適な絵本です。
※あひるの鳴き声が鳴るしかけは、ついていません。
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