この絵本には大切な家族の一員である、わんちゃんやねこちゃんに対し「ずっと元気でいてほしい。一日でも長くそばにいてほしい」と願う飼い主さんの願いと、その飼い主さんの思いに応えるわんちゃんねこちゃんの気持ちがやさしく描かれています。
犬と猫は、わたしたちのもっとも身近にいる動物ですよね。そして、毎日いっしょに生活する中で癒され、たがいに愛情を受け取りあう大切な家族でもあります。
そんな大切な家族の一員は、人間よりも早く年を取ります。
ねこちゃんは大体7歳以上、わんちゃんでは小型・中型犬で10歳前後、大型犬で7歳くらいから中高年期(シニア期)に入り身体の衰えが目立ってきます。近年ではいろいろな情報が共有され、わんちゃんやねこちゃんにもシニア期には関節症や認知症など人間と同じような悩みも出てくることが知られています。犬や猫は成長が早い分衰えるスピードも早く、老いの徴候があらわれたわんちゃんねこちゃん達に「どうすればいいのだろう?」と飼い主さんも戸惑うことが少なくありません。
そんなシニア期を迎えた大切なペットに対し、「元気で長生きしてもらうにはどんな備えが必要なの?」ということを共に考え伝えていきたいという思いから、「シニアのそなえプロジェクト」が生まれました。
そして、シニア期のわんちゃんねこちゃんの生活とはいったいどういったものかを伝えるため、プロジェクト内で制作が行われたのが『シニアのそなえものがたり』です。実在の飼い主さんに、シニア期にどんなケアをしているか、何に注意しているかを取材し物語化したノンフィクション絵本になります。
犬と猫、1編ずつ物語があり、
ねこちゃん編『ママは ココファースト!』では、ねこのココと飼い主さんの出会いから、ココちゃんの体調に飼い主さんがどのように向き合っているか、お世話によって老いてもどう日常を温かくすごしているかが描かれています。
わんちゃん編『ずっとそばにいるからね』では、飼い主さんがわんちゃんについてくわしく調べ、犬のララマがそのきめ細やかな接し方によってどのように健やかなシニア期を迎えているのかが描かれています。
わんちゃんねこちゃんは、自分で体の調子を伝えることはできません。ですので、毎日彼らと向き合い変化を見逃さないようにすることが大切です。ココちゃんララマちゃんの生活からシニア期のお世話のポイントや向き合い方を知ってもらい、わんちゃんねこちゃんが、大切な家族としていつまでも元気で長生きしてほしいという願いが、この絵本にはこめられています。
(徳永真紀 絵本編集者)
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