
イソップのお話を、語り手のねずみが物語る「イソップねずみのイソップものがたり」シリーズ。今回は、イソップのなかでも特に有名な「うさぎとかめ」です。この話は、才能がありながら怠けてしまううさぎと、地道な努力を重ねるかめの競争を通じて人生訓を伝えるものとしてよく知られています。本書は、この古典に、競争を超えてお互いにそれぞれ持っている能力を認め合う話として新鮮な命を吹き込み、あたたかく心打つ物語になっています。

おそらく誰もが知っている「うさぎとかめ」のイソップ童話です。
それだからアレンジやバリエーションもあるのですが、この絵本には唸ってしまいました。
絵がとても綺麗で、写生のような素朴さで、滑稽さのない世界でした。
そこで、イソップねずみからこの話を聞いた子どもたちは疑問を投げかけるのです。
「うさぎがちゃんと走った方が、かめは気持ちよかったと思う」というのです。
油断していると、コツコツ歩いている者に先を越されるぞという教訓だと思っていましたが、子どもたちは「かけっこではうさぎに負けても、かめにはかめの得意なことがあるもの」と考えたのです。
人生は競走でも競争でもないのかも知れません。
その人に合った生き方があるのだと、改めて教えられたような気がしました。
だって、誰もがそんな人の中で暮らしているのですから。 (ヒラP21さん 70代以上・その他の方 )
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