町の商店街をなわばりにしているどろぼうねこのシリーズ。
ある日、どろぼうねこの親分が、行きつけの魚屋さんへ行く道すがら、河原を散歩していると、草むらに鳥の巣がありました。
巣には卵があるけれど、親鳥が見あたりません。どろぼうねこは「へびに食べられないように、ちょっと見張っておいてやるか」と寝そべってひなたぼっこをはじめます。さすがは情に厚い親分です。
ところが夕方になっても、翌朝まで待っても親鳥がもどってこないのです。
「うーむ、こうなってはしかたがない。あのままほうっておいても、へびに食べられるだけだからなぁ」と、どろぼうねこは首に巻いた風呂敷に6つの卵を入れて歩き出します。
「魚屋さんにたのんで、めだまやきにしてもらおう」!?
実はどろぼうねこは卵料理が大好きなんですって。しかし春のあたたかな日差しの中、てくてく歩いていくどろぼうねこの背中からは、「ピヨ」「ピヨピヨ」と何やら騒がしい声が……。さて、この声の正体は?
見どころは、いつも勇ましいどろぼうねこの親分が、かわいいピヨピヨ鳴くカルガモの子どもたちに慕われて一緒にいるところ。
シリーズお決まりの見せ場ももちろんあり、親分が一声鋭く「にゃおーーーーん!」と鳴けば、たのもしい仲間があらわれます。
文を担当するこまつのぶひささんの、ちょっぴり古風でユーモアたっぷりの言い回し、絵を担当するかのうかりんさん描く動物たちの豊かな表情といったら。場面によってにじみ出るコミカルな雰囲気は秀逸です。
最後までおもしろく、親分のちゃっかりした内面も感じられるおはなし絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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