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「あいつが来る」と叫び,やがてキミョウな死に方をする,そんな不可解な事件が多発している。しかも調べていたルポライターまで…。

『星新一YAセレクション5』(理論社)。
表題作である「あいつが来る」をはじめとして、16篇の「ショートショート」が収められた、YAすなわちヤングアダルト向けの児童書。
ちなみに、「ヤングアダルト」は子供と大人の間の世代を指す言葉で、13歳頃から19歳頃までの若者のことをいいます。
装幀・挿絵(それぞれの作品に挿絵がついています)は、和田誠さん。
「嘘」という言葉を広辞苑で調べると、「真実でないこと」と初めにでてきます。
でも、時には「嘘」をつかないといけないこともあって、この巻でいえば「夜の道で」という作品でそんな「嘘」が描かれています。
余命いくばくもない友人を見舞った際に「大丈夫」と励ました主人公。しかし、友人はやはり亡くなります。それから一年。夜の道を歩いている主人公のうしろから「やい、うそつき」と彼の声が。
とても短い作品だし、誰もがこの主人公のように励ましの「嘘」をつくと思いますが、それでもこうして「うそつき」と声をかけられる場面は、作品が短いゆえに少し怖くなります。
星新一さんのショートショートは「真実でない」ということでいえば「嘘」ですが、それでも先の作品のように読者を一点刺ししてしまう技術は「嘘」とはいわないでしょう。
では、なんというか。
これこそ「創作」。
広辞苑では、この言葉の三番めの解釈で「うそ」とありますが。 (夏の雨さん 70代以上・パパ )
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