「宮大工」というお仕事の名前を知っていますか?
宮大工というのは、高度な技術を使って神社や寺の建築や修復をする大工のこと。そう聞くと、がっしりした体格の男性が働いている姿を思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし、この物語の主人公・杏(あんず)のおねえちゃんは、そんなイメージとは少し違います。もともと手先が器用でなんでも自分で作ってしまったり、家で何かが壊れると大工道具を持ってきてあっという間に直してしまうおねえちゃん。やさしくて頼もしくて杏のあこがれの存在です。でも宮大工として働くために、長くて真っ黒でつやつやだったロングヘアを切って少年のように短くしてきたおねえちゃんを見て、杏はどうしてそこまでして宮大工になりたいのか不思議で仕方がありません。
そんなある日、杏はおねえちゃんがはたらく仕事場の見学会に行くことになります。案内役の「はっぴさん」が話してくれたのは、千四百年から千三百年前にあまり道具のない中で立派な建物を建てた職人の技術の素晴らしさや、一人前の宮大工になるには厳しい修行が必要なこと、古い建造物をどのように職人が作ってきたかの工夫でした。杏はどうやらおねえちゃんはとんでもない職人を目指しているのだと実感していきます。さらに建築には、杏の好きな算数が必要だということを知り、夢が広がって……。
物語の中でおねえちゃんが宮大工さんたちの仕事を語る「自分も自分の孫さえもいない遠い未来の人たちに向けて、メッセージを送っているようなものなんだよ。」という言葉が印象的です。また宮大工の仕事はまだまだAIがかなわないとも。なぜAIではできないのか、本書でその理由を確かめてみてくださいね。
「千年前の過去」から「千年先の未来」へ。時を超えてバトンをつなぐ宮大工の仕事の奥深さに触れることのできる本書は、これから自分の将来を考え始める子どもたちの背中も押してくれることでしょう。古い建造物や建築に興味がある子はもちろん、そうでない子もきっと夢中になれる一冊。鳥居の形には大きく分けて2つの種類があることや、お寺の屋根の美しいカーブに隠された秘密など、大人が読んでも「へぇ〜」と思う発見が詰まっていて、新しい世界が広がります。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
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小学5年の杏は、8つ上のお姉ちゃん、花梨のことが大好き。やさしくて頼りになるし、その上自分とは違うサラサラのロングヘアなのもあこがれる。寺や神社が好きなおねえちゃんは宮大工として働きはじめることになった。仕事に励むため自慢の髪もバッサリ切ってしまったおねえちゃんを見てふに落ちない杏。宮大工ってそんなにきびしい世界なの?
ある日、杏はおねえちゃんがはたらく仕事場の見学会に行くことになった。作業場で働くおねえちゃんの姿を見て納得した杏は、さらに棟梁の話から、自分の好きな算数が建築にも必要だということも知って……。
日本の豊かな伝統文化を支える「匠」の姿を子どもたちに知っていてほしい、という作者の思いがこめられた作品。
大阪で聖徳太子の時代から寺社建築を手がける建設会社に取材し、実際に現場の様子を見て、棟梁の話を聞き書き上げています。
日本の寺社建築の高度な技術、歴史についてもふれることができます。
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