アーノルド・ローベルは、物語を心で感じたように、目で見たとおりに書きました。アーノルドは人生のすべてを注ぎ、がまくんとかえるくんの友情を描きました。アーノルドは作品の中に、必ず自分を描きこんでいました。だから……。
この絵本『アーノルド・ローベルものがたり がまくんとかえるくんとぼく』は、時代が変わっても、いつもとても愛され読まれている子どもの本の作家アーノルド・ローベル(1933〜1987)の人生と仕事を、絵本作家エミー・キャスナーの視点を通して描かれたものです。
はじまりは、少年がくつしたをぬらしてしまったところから。それが悲劇的な出来事を次々と引き起こしたのだけれど、そのことがアーノルドが大人として最高の物語を生み出すきっかけとなったのです。
アーノルドは小さい頃から大人になるまでずっと、おかしくて笑えることが大好きでした。家族ができると仕事につき、夢中で働きます。けれどアーノルドは絵の具と筆、それにペンを手にとり、新しい自分の道へと踏み出していきます。そうしてある時、夏休みの家族旅行で行った湿地帯にて、つやつやで緑色のきれいなカエルに出会います。
この絵本を読むと、アーノルドが自分の心にいかに忠実であったかが見えてきます。物語を読めば、アーノルドが人の気持ちがよくわかる人だということも伝わってきます。だからこそ、私たちは「がまくんとかえるくん」シリーズをはじめ、多くの物語の中に自分たちの人生を見つけだすことができるのでしょう。
ローベルを愛してやまない読者にとって、ページのあちらこちらに登場するキャラクターを見るだけでも嬉しくなってくるこの一冊。アーノルド・ローベルは、そう簡単にはさよならを言わせてくれないようですね!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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