「かえして!」
「あっ」
ハルが描いた絵が、ビリビリッと半分にやぶれてしまった。ハルは泣いていた。おれはどうしたらいい? あやまらないと、だよな。いやいやいやいや、ぜったいむり……。悩んだそうたは、思いつく。そうだ、手紙をかこう。
「きのうは ごめん。そうた」
ところが、そうたが書いた「ごめん。」が逃げ出した! 「ごめん。」と目が合って、そのまま部屋から出ていったのだ。
「まてまて、なんで にげるんだよ」と追いかけるそうた。
「つかまるもんか!」と走っていく「ごめん。」。
いったい何が起こっている!? おまけにそうたの「ごめん。」が他のごめんを連れ出して、ここかしこであらゆる「ごめん」がいなくなり、商店街は大混乱。果たしてそうたは、自分の「ごめん。」を取り戻し、ハルに「ごめん。」を伝えることができるのでしょうか?
物語から突然飛び出す「ごめん。」の字。その様子は、一目見て夢中になってしまうほどのインパクト。だって、自分が書いた文字が逃げ出すなんて考えたこともないし、そんな景色を想像したこともない。
作者は童心社「第10回絵本テキスト大賞受賞」をされている渡辺朋さん。そして、そんな型破りな設定を、絵本の世界として魅力的に再現してしまったのが、装画・挿画でも大人気の早川世詩男さん。様々なフォントの「ごめん」が逃げ出していく様子と言ったら!
だけど確かにこの世界から「ごめん」がいなくなると、困ることがたくさんある。そもそも、なんで「ごめん。」が逃げ出したのか、その理由だって気になるよね。
自分の気持ちに向き合うことの大変さと面白さ。その両方が味わえる風変りで味わい深い一冊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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