
ある女性が戦争を経て生き抜いてきた一生を、陰影のあるタッチで描いた絵本。
1914(大正3)年に愛知県でうまれた清子(きよこ)は、町一番の家柄のお嬢さん。大事に育てられ、レコードもカメラも、まわりにはなんでもありました。 清子は女学校に入り、裁縫の腕を褒められるように。時代は昭和になり、真空管ラジオから流れてくる賑やかな音に人々は心を弾ませますが、次第にラジオからも戦争の足音が聞こえ……1941年に戦争がはじまります。 27歳で結婚し、ある日まちの傘屋をのぞいて「これだ」と思った清子は、自慢の器用な手で、見よう見まねで傘の修理の商売をはじめます……。
戦争が激しくなり、近くの都市・岡崎が空襲で燃やされた数日後、甥っ子が清子の元に「なにかに使えるんじゃないかね」と重たい鉄の塊を持ち込みます。 それは焼夷弾のおもりで、燃えたあとのような、どす黒さ……。そこからは燃える街と人々の苦しみが伝わってきます。
清子は戦争を憎む気持ちをもって、傘を鉄の塊につきさし、傘をなおすようになるのです。 戦後何十年間も爆弾を毎日見つめ、「壊れたものはなおしてまた使うのだ」と子や孫に言い聞かせてきたのでしょう。 「ばあちゃんは忘れないようにな、ずっとこいつと一緒に傘をなおしてきたんだ」 108歳の生涯を閉じるとき、その願いはひ孫にまで伝わります。
「戦争はいかん。争いはいかんよ。全部壊していってしまった。みんななおしてきた。必死になおしてきた」という清子の言葉が重く響きます。 戦争を知るひいおばあちゃんが、未来に伝えたかった物語。 題28回えほん大賞絵本部門大賞受賞作です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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108歳という大往生で亡くなった曾祖母。遺品の中に岡崎の空襲で降ってきたと見られる焼夷弾のおもりがあった。その発見をきっかけに、著者は曾祖母の当時の暮らしのこと、町のこと、戦争のことを知っていく。大正時代から目まぐるしく変化する日本を生きぬいた一人の女性の姿を、映画のように美しく、悲痛に、幸福に描いていく絵本。第28回えほん大賞絵本部門大賞受賞作品。

108歳という大往生で亡くなった曾祖母。遺品の中に岡崎の空襲で降ってきたと見られる焼夷弾のおもりがあった。その発見をきっかけに、著者は曾祖母の当時の暮らしのこと、町のこと、戦争のことを知っていく。大正時代から目まぐるしく変化する日本を生きぬいた一人の女性の姿を、映画のように美しく、悲痛に、幸福に描いていく絵本。第28回えほん大賞絵本部門大賞受賞作品。
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