もの悲しく静まりかえった秋のある日。私は一日中馬に乗って、アッシャー家を目指していました。
アッシャー家の館を初めて見たとき、私は正体がわからない不安におそわれました。
長い間雨や風にさらされたような建物のかべ。目のようにぽっかり開いたまど。まばらに生えた草、かれて白くなった木。それらを見ているだけで、心のおくが冷えてきて、わびしく、やりきれない気持ちになってきます。
それなのに私は今日から数週間、このしめっぽくて気味の悪い館にとまらなくてはなりません。この館のあるじであり、おさななじみでもあるロドリック・アッシャーにまねかれたからです。
彼から手紙がとどいたのは、つい先日のことでした。
手紙には、アッシャーが最近病気で苦しんでいることが書かれていました。彼は私に会いたいと願っていました。
ロデリック・アッシャーは、私が彼の部屋に入るとうれしそうにあいさつしてくれました。アッシャーは、聞き取れないような低い声で、もごもご言っていたかと思うと、急に元気になって大きな声でしゃべりだしたりするのです。そんな奇妙な話し方で、アッシャーは自分の病気のことを話しだしました。
「ぼくは病気なんだ。これはアッシャー家の人間につたわる病気で、今の医学ではなおらない……ぼくがこうなったのも、この家のせいだ。はい色のかべ、どす黒いぬま、そこにしみこんでいるのろいが、ぼくの体も心もぼろぼろにしてしまっているからだ……」
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