ぼくの夢は、海軍少年航空兵になること。
陸軍航空学校を目指す友だちののぶ君とともに、一生懸命に勉強をし、合格祈願のため標高800メートルの山頂にも登りました。学力のみならず体重・身長、視力まで求められる厳しい合格基準。 1次試験の受験者は全国て゛ 50 万人、 2次試験に通過した1万人のうち狭き門をくぐり抜けられたのはたった1500人でした。そこまでの道のりを見れば、合格したぼくとのぶ君が「人生最高の喜びだった」と語る理由にも納得させられます。
昭和18年6月、14歳の少年2人は、晴れて航空学校への入隊を果たしました――。
本作は、2025年に96歳て゛亡くなった著者・石川清典さんの少年時代を描いた実録。軍人を夢見て入隊した若者たちの航空学校での生活、ありのままの姿が克明に記されています。
ひたむきに訓練に励む、生命力に満ち溢れた日々の向かう先は、死が凌駕する戦争。白いマフラーに日の丸ハチマキ、片道分た゛けの燃料を入れた特攻機て゛飛び立っていく先輩たちは青空の下、真っ赤に燃える炎とともに、海に散っていったのです。
軍国主義の渦中にいた若者の声を聞くことができる、資料としても貴重な作品。空襲の惨禍を逃れたときの心境を「悔しかった」と書き残した作者の思いは、戦争のむごさとともに語り継いでいかなくてはなりません。
(竹原雅子 絵本ナビライター)
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