むかしむかし、あたまはひとりぽっちでした。
頭はごろごろ転がって動くしかない。
ある日、頭は腕や足や胴体と出会い、…。
バラバラだったパーツが、力を合わせ一つの目的を達成し、現在の人間になったというお話です。
リベリア北部に暮らすダンの人々が子どもたちに伝えてきた物語です。
ダンDanは、西アフリカのコートディヴォワール共和国西部からリベリア共和国東部にかけての内陸森林地域にくらす民族です。
ダンという民族呼称は、ダン語による彼らの自称“ダンの言葉を話す者たち”に由来します。
ダン語は、書き言葉、すなわち文字をもたない話し言葉だけの口承言語です。
作者が語り部の一家に生まれ、昔話の語りを祖母に仕込まれて育ったというのもうなずけます。
ガーナの伝統的な旗からインスピレーションを得たという絵が、このお話を楽しくしています。
明るくユーモラスなアフリカの文化に出会えました。