紙しばい屋さんというのは、私より一世代前の人たちには、絶大なる支持を得ていたようで、その世代の作家たちがその面白さを語っているのを、雑誌などで何度も目にしたことがあります。
娯楽の少ない暮らしの中で、子どもの最大の楽しみで、やってくるのを心待ちにしていたのでしょうね。
お話はもちろんのこと、色とりどりのお菓子にもワクワクと胸をときめかせたのでしょう。
この絵本からは、そんな甘美な気持ちがいっぱい伝わってきます。
アレン・セイの絵本は、絵も素晴らしいですし、なぜか懐かしいような気持ちにさせらてしまうという不思議な絵本です。
『紙しばい屋さん』は、静かな雰囲気のお話ですが、その懐かしいような気持ちにせかされて、どんどんページをめくってしまいます。
そして、読み終わった後に、体の隅々まできれいな空気が行き渡ったような、爽やかな気持ちになっていました。