たからものって、いったいなんだろう?
ねこのつっきーとからすのカーコは、赤ちゃんの頃からとっても仲良し。
「イエーイ」
会ったら、お互いの足のうらをくっつけるのが、ふたりのいつものあいさつ。
(表紙でもしっかり「イエーイ」とあいさつしてますね)
さて、スキップしながらやってきたカーコ。なんだか嬉しそうです。なんでスキップしてたのか、つっきーがたずねると、「これよ、これ!」と差し出したのは、小さなつぶつぶ。びーびーだんのようです。でも、ただのびーびーだんなのではなくて、エメラルドグリーン色のところがカーコのお気に入りなのだそう。けれども、つっきーが「かーしーてー」と無理やりカーコの手を開こうとしたから大変! びーびーだんは、にぎりこぶしのすき間からこぼれおちて、草原の中に転がっていってしまいます。
「あ〜あ」
いそいであたりを探すカーコ。つっきーも慌てて手伝います。
とっても小さなびーびーだん、広い草原の中で見つけるなんて気が遠くなりそう。あれあれ、でもふたりが探す姿の楽しそうなことったら。途中で歌なんて歌っちゃったりして。おまけにさらなるたからものを、たくさん見つけたようですよ。
その夜、自分のたからものについてはじめて考えるねこのつっきー。次の日、へびのへびおさんや、やまねのやまさんなど、会う人会う人のたからものとその理由についてたずねてみるのですが‥‥‥。
はたして、つっきーは自分のたからものに気づくことができるのでしょうか。
子どもらしい無邪気さいっぱいの、つっきーとカーコ。お話のはしばしから、ふたりの仲良しぶりが伝わってきて、ほっこり楽しい気分にさせてくれます。ほのぼのとした何気ないやりとりの中で、何かに気づいたり発見していくところも大きなみどころ。個人的には、つっきーのお母さんのたからものの話にじーんときてしまいました。つっきーとお母さんのやりとりの場面では、子どもたちも温かい気持ちに包まれるのではないでしょうか。
お話を書かれたのは、絵本作家のおくはらゆめさん。近年、絵本だけでなく童話でも活躍されています。童話といっても、おくはらさんの、かわいらしくてユーモラスな挿絵が全ページにたっぷりついているので、まだ長めのお話をひとりで読むのに慣れてない子どもたちでも、無理なく読み進めることができるでしょう。気持ちが顔にまるごと出ているようなつっきーとカーコの表情に注目してみて下さいね。中でも、カーコがたからものを見るときの目がすてきです。 好きなものを見る時の目ってこんな感じなのかも、となんだか嬉しい気持ちにさせられてしまいました。
つっきーとカーコが過ごすなにげない毎日の中で起きる発見のお話。ふたりのお話がもっと読みたくなったら、前作『つっきーとカーコのけんか』もぜひ読んでみて下さいね。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
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