南太平洋の国・パプアニューギニア。いまなお自然のなかに生きる人びと。ほぼ自給自足の生活。その暮らしが、そして社会がなりたっている鍵は、ブタとサツマイモにあった?。自然のありがたさを忘れかけた私たちは、彼らから何を学ぶことができるのか。人間が生きる根源のしくみを、やさしく、深く問いかける一冊。
人間が生きる仕組みを調べるために、パプアニューギニアのいくつかの地域に滞在。現地の人と同じものを食べ、仕事を手つだった体験記。2007年刊行。
地域によって生えている植物や気候、野生生物などが違うので、それに合わせて人々が暮らしている。暮らしは至ってシンプルだ。食べること、子どもや家畜や作物を育てることなど。その他、いろんな決まりがあり、昔ながらの暮らしをしていると、自然と人間がうまく共存できるようになっている。
元気に走り回る放し飼いのブタや鶏、楽しそうな子どもたちの様子が素敵だ。
おどろいたことはたくさんあるが、中でも、現地の人の味覚の鋭さや繊細さについては印象的だった。
主食のサツマイモは、何種類もある上、それぞれの持ち味が違う。サツマイモをおかずにして、サツマイモを食べるという。芋の種類が違い、味も違うので、おかずになるのだという。
筆者も、現地の人の食事が芋に芋を挟んで食べたり、味のついていないようなもの(塩は貴重品)が続いたりすることに驚いていた。
日本人と味覚が違う驚きと、現地の人が自分には実感できない芋やサゴヤシでんぷんの微妙な味わいの違いをしっかり感じ取れることにも驚く。
米を主食にしている人の場合、ご飯の水加減や炊き方、銘柄などにこだわりを持つ人もある。それと同じなのだろう。
パプアニューギニアは周りが島国なのに、塩が貴重品というのも意外だった。塩についてはあまり書かれていないが、塩を作った運んだりするのが大変なのかもしれない。
自分の行ったことがない場所は、やっぱり知らないことだらけだ。
食べることや、暮らすことが、どういうことなのかが少しわかってきた気がした。 (渡”邉恵’里’さん 40代・その他の方 )
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