空を飛ぶ不思議な生きものサナダ鳥に乗って、ペットの金魚・ダビッコラと一緒に冒険に出かけよう!
16歳の濱口瑛士さんのデビュー作です。
まるまる太ったサナダ鳥に、同じくまるいダビッコラ。
ふたりと一緒にぼくは、宇宙へと飛び立ち……、摩訶不思議な建物でびっしりつつまれたダビッコラ星に到着。
にぎやかな市場で名物のパンを食べようとしたら、他の星から来たまいごの子を、ダビッコラがパンとまちがえてかじっちゃった!
まいごのファルっ子を故郷の星に送り届けることになったぼくたちだけど、宇宙を飛んでいるとき、うっかりうずを巻く巨大なトンネルに吸い込まれて……!?
精緻に描き出される冒険ワールドは、他のどこでも見たことがない手触りに満ちています。
ページをめくるたび、エキゾチックな細密画の中に吸い込まれてしまいそう。
見知らぬ世界が次々現れるあざやかさは、理屈ではない感動を呼び起こします。
へんてこで、てんやわんやで、あたたかで……ドキドキしてしまうんです。
ピンチに陥っても、口からでまかせで切り抜けつつ、いろいろな星を渡り歩く、ぼくのたくましさがうらやましくなっちゃう。
めくるめく不思議な世界へ飛び出すわくわくした勇気と、あたたかい読後感に、何度もページをめくりたくなる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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