どこからともなくあらわれて、ニンジンウォークで去っていく。人か野菜か得体のしれぬ、ヤツの名前は「ニンジンジン」!
「ニンジンジンが あるいてる
ニンジンだけど あしがある
ひとのかたちだ ニンジンジン
ふさふさヘアーは はっぱだジン」
いちど読んだら頭にしみこみ、耳に残って離れない!
歌うようなリズムに合わせて、ニンジンジンとそれを食べようとするウサギたちのドタバタを描いた、とびっきりシュールな絵本です。
飛びかかれば、「ニュルニュルジンジン ニュルジンジン」と、ヘビのようにのびてすり抜ける。投げなわでつかまえても、ニンジンらしからぬ怪力でウサギたちをずるずる引きずる。ウサギたちの罠と工夫を、まったく予想外の方法で切り抜けるニンジンジン。もう、次に何が起こるのかさっぱりわからない!
……ていうかそもそも、ニンジンウォークって、なに?
著者は絵本「ドン・ウッサ」シリーズなどでもおなじみ、キューライスさん。著者の魅力である、あまりにも独特な世界観から生まれる唯一無二のユーモアが、本作でもぞんぶんに発揮されています。
さて、どうしてもニンジンジンを食べたいウサギたちは、さらに大がかりな罠をしかけます。ウサギたちはニンジンジンをつかまえ、食べることができるのか!? それとも、またもやニンジンジンは華麗にその罠をかいくぐるのか!? 勝負の行方は、予想のはるかナナメ上──。
ほかでは味わえない読み心地、魅惑のキューライスワールドへ!
(堀井拓馬 小説家)
続きを読む