ある夜、なほちゃんが「おやすみなさい」をしてお部屋に行こうとすると、パパのママの楽しそうな話が聞こえてきました。
どうやら新しいおうちをつくるみたい!
「どんなおうちになるのかな?わたしのお部屋もあるのかな?」
わくわくして眠れないなほちゃん、窓の外にツバメの巣を見つけてふと思うのです。
「ツバメはどんなおうちにすんでいるのかな?」
つんつん。
ほっぺをつついたのは、ツバメ!
「ついてきて!」
なほちゃんが追いかけていくと、屋根の下にツバメのおうちがありました。雨をしのげて、ほかの動物から身を守れる場所。おうちの中には藁が敷かれていて、ふかふかであったかそう。
「こんなおうちにすんでみたいなあ」
思わずつぶやくなほちゃんを、ツバメが誘います。
「もっとおもしろいおうちを見せてあげる」
原っぱ、川、森の中、雪山……ツバメに案内してもらい、さまざまな生きもののおうちを巡るなほちゃん。
たくさんのお部屋を持つアリのおうち。敵から身を守る秘密基地のようなビーバーのおうち。大きな木を使いたくさんの仲間で共同生活を送るシャカイハタオリのおうちは……わぁっ!圧巻です。
緻密ながらやわらかく優しいタッチで描かれた生きもののおうちには、人間に共通する暮らしの工夫がいっぱいで、子どもたちは驚きや好奇心とともに、共感や親しみも感じることでしょう。
自分のおうちと生きもののおうちの似ているところ、違うところをさがしたり、なほちゃんのように自分の住みたいおうちのヒントにしたりするのもおもしろそう!
おはなしと自然界を行ったり来たりする楽しさもあふれる一冊、生きものの世界に初めて触れる小さなお子さんにもおすすめです。
(竹原雅子 絵本ナビライター)
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